Ωの僕がお偉いさん

メシテロですか？

　母様と共にテラスの見える席に案内される。テラスの見える席というのは遊んでいる子供達が僕を見れるしこっちも見やすいという気遣いだろう。リリーとエンジュはピクニックシートの上でおままごと中でアンリが面倒を見ていてくれてるので一安心。
……おままごとの料理が本物なのでエンジュが食べて良いものかちゃんと見てなきゃいけないんだ。

　「姫様！好物お持ちしましたよ！」

いつもの侍女さんが大きな皿を持って来た。……いつもはちゃんと王妃様って呼んでるのに“姫様”になってるあたりが笑える。やっぱり故郷は違うのかな？

「ありがとうステラ。嬉しいわ！やっぱり帰って来たらコレよね！」

　ドーン！とテーブルの上に置かれたお皿にはとんでもなく大きなお魚？の焼いたものが乗っていた。お魚の回りはトマト、レモン、コリアンダー等で飾られていたけどこれ、丸焼きってやつだよね？

　「ノエルは初めてよね？こういうお料理は。これはね伝統料理の一つで、甘酸っぱいソースをつけて食べるのよ。このお魚はねマグロっていってとっても美味しいの！大きな釜で弱火でじっくり焼くからこんな大きなお魚でも中までちゃんと火が通ってるわ。」

　そう言って母様は大きなフォークとナイフを器用に操って僕のお皿に乗せてくれた。
食べてみると凄く脂が乗っていて美味しい。うん、間違いなくマグロだね。身はほっくりとして甘い。脂があると言ってもそこは魚の脂だからね体に良い。なんだっけ？コレステロールを下げる？
うう～、もう覚えてないけどとにかく良いんだよね。

「あ、もうひとつ来たわ！ノエル驚くわよ？！」

　遠くの方からまたお皿が運ばれて来た。母様が興奮して喜んでるのを見ると、どうやら暫く食べてないものなんだろう。しかし……驚くってどういう事？

　デデーン！と置かれたのは牛？の半身焼き、だろうもの。香りが暴力的にたまらない！外側はテカテカと飴色に光っているけど断面はうすいピンク。ローストビーフみたいなものかな？
　母様はまたもや大きなナイフを持って薄く肉を切っていく。そしてその肉に細く千切りされた野菜をのせて巻くとソースをかけて僕のお口へ。

　あーん、状態になったけど親子だから別に恥ずかしさもない。しかし美味しいねこれ！ナニコレ！
お肉はやっぱり牛だろうけど。外側はパリパリで甘いのにお肉はジューシーで肉汁がじんわりと。お野菜はかいわれみたいにちょっと辛味のあるものだけど数種類混じってるね？ソースはニンニク醤油的な感じだ。ああああ！さっきのマグロと牛とのヘビロテしたいよ。

「あらあら、小食のノエルが……すごいわね。そんなに気に入った？夢中で食べちゃって、母様が好きなものを気に入ったようで嬉しいわね～。」

　
　あまりの美味しさにリリーとエンジュにも食べさせたくてまだ食べちゃいけない食品を抜いて食べさせられないかと聞いてみた。

「まぁ……お肉の方は蜂蜜を使ってるからダメだけど、お魚ならソースを薄味にしてなら大丈夫かも知れませんね。コックに相談してきます。」

　さすが。長年の母様付き侍女さん、対応早いね。