Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

文字の大きさ
上 下
397 / 685

侍女同士の会話

しおりを挟む
ノエル侍女 以降 N
提督侍女  以降 提

 ノエル達がゆっくりと移動している裏側では侍従や侍女が高速で移動していた。ノエルがおぶわれて登った階段は侍女は荷物と共に馬で運ばれ、侍従は駆け上がったのだ。

N 「本日よりお世話になります。私どもはノエル様の侍女でございます。」

提 「ようこそお越しくださいました。主人が極端に名前を呼ぶのを嫌がるためこちらは将軍邸と呼ばれております。将軍邸の者、一同お越しをお待ちしておりました。」

N 「早速ですがお部屋を拝見できますか?」

提 「はい。事前に知らせを受けておりましたので最低限の用意にさせていただいております。」

N 「ありがとうございます。なにせ特殊な主人達なもので……。」

提 「その辺りはお気になさらず。当家の主人も」

 はっきりと言わずとも長い侍女経験から双方共に何かを感じとり頷くことで挨拶は終了した。

 普段ならば滞在先の使用人に殆どを任せ、自分達は最低限の主人の身の回りの世話のみをするのだが、人数が多いことやノエルのような特殊なΩがいたり幼児がいるためなるべく普段過ごす部屋と変わりの無い事が大事と思われた結果、移動荷物に普段使いのクッションカバーやシーツ、カーテンが入れられ滞在先へ先回りした人たちによって部屋が整えられた。

N 「やっと整ったわ!」

提 「拝見してましたが凄いですね。スピードといい出来映えといい……さすが名だたる“動じないスサエナ”ですね。」

N 「……はい?“動じないスサエナ”ですか?」

提 「ええ。あら、ご存じ無いですか?わりと使用人の間では有名でして、『スサエナ領主様のどんな要求にも答え、冷静に行動し成果を出す“動じないスサエナ”』ですよ。」

 ノエルの侍女達の手が止まった。まさか自分達が他国の人にそんな二つ名で呼ばれているなどとは思いもよらなかったからだ。

提 「ああ、誤解しないでくださいね!デジレ様がスサエナ領主様の要求とその要求に対した結果の事をよく仰っていて……本当によくお答えになっていると……。」

 正直、きついでしょうと同情されスサエナ側は苦笑いを返すしかなかった。
 話題を変えようとするタイミングで子供部屋の用意をしていたグループが完了を伝えてきた。

提 「……それでは、皆様に是非とも…是非ともお守りいただきたい事がございます。」

 急に真剣になった提督の侍女は二度是非ともと念を押した。……なんとなく予想はつくことだが。

提 「お子さまの夜の出歩きは……」

N 「させません!絶対に!!」

 被せ気味の答えに一同、頷くことで了承を示した。

提 「……お気遣い、痛みいります。」

 皆まで言うなと手をとって首をふって上げれば提督の侍女はうっすらと涙を浮かべた。

提 「……本っ当に……本っ当に…酷いんです。グシャグシャだし……ドロドロだし……ベショベショなんですぅうう!!」

 何が、とは誰も聞かない。聞かないけどわかる。うんうんと頷いて跡片付けの大変さを理解してるよと示してあげた。
しおりを挟む
感想 194

あなたにおすすめの小説

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

処理中です...