Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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フールフーガ

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 派手な船に囲まれるように着いたフールフーガの港は一言で言えば『The・南欧』。
 港街ははあるんだけど、本当の港街は崖の上にあって高い外壁で囲われている。街の建物は屋根がみんなオレンジ色の瓦でなんだか可愛い。新しい家は壁は白いから最初は白壁なんだろうね。

 僕たちの寄港にあわせてお祭りがあるらしく、船の上まで音楽が聞こえてきている。

「ノエル~、そろそろ降りる準備して~。」

 なぜか頭にベールを付けたマオが言う。何故にそんな頭なのかと聞く前に答えがわかった。後ろから造花の花飾りを持ったリリーが覗いてる。どうやらリリーのおままごとでオモチャになっていたらしい。ごめんねマオ。

「そうですねマオの言うとおりそろそろお支度をしましょうか。お子様達とお揃いのドレスアップでよろしいですね?」

 うん。そんな風に言われてしまえばドレスアップも嫌じゃないよ。エンジュとリリーはともかくずっと姿を見せないアンリはどうかな?一緒にしてくれるかな?

「ノエル様がお望みでしたらしてくださいますよ。アンリ様も頷くようなものでよろしいですね。」

 そうだね。アンリもお揃いにしてくれるなら……いっそ、カッコいい系にする?!

「……同じ色の組み合わせでお揃いにしてもらいましょうね。お子様とノエル様は薄緑の上着に色いパンツとドレスを。それならアンリ様も大丈夫でしょう。」

 ええ……、グレーの上着の方が好きなんだけど……しょうがないか、あれはボタンがピンクだからアンリには拒否されそうだ。
 そうなんだよ。最近アンリは可愛い洋服を着てくれなくなった。可愛い洋服を着る背丈じゃなくなるのはもうすぐなので今のうちに着てほしいのだけど本人はもう嫌がってるのでちょっと寂しい。



 グダグダとしていたら噂のアンリが入ってきた。

「母上、爺が困ってますよ。早く用意して下さい。ほら、僕もお揃いにしましたから。」

 オオー、似合ってるよアンリ。あれ?ちょっと袖口が……。

「ああ、また背が伸びたみたいで。もうこれもこの旅のあとはお下がりになるでしょうね。」

 ……僕の背はとっくに越されてるのにまだ伸びるか。アンリ、君のその服はたぶんお下がりにならない。エンジュは君ほど大きくならないだろうから。

「ほらほら母上、立って下さい。……そんな目で見たって僕はもっと大きくなりますよ。ほら、爺が待ってます。可愛いリリーとエンジュを見て下さい。」

 甲板に行くと可愛い格好のリリーとエンジュにメロメロの母様からエンジュを引き取る。リリーは絶対に渡さないとリリーを抱っこする母様もなぜか僕たちとお揃いだ。……いつの間に用意したんだろう。

「フフフ。似合うかしら?リリーがお揃いにしましょうってあちらを発つ前に持ってる服を見せてくれたのよ。今日の晩餐会は子供達は来れないからノエルとお揃いにするわ。」

「母様、僕よりローランドとお揃いにして下さい。僕は子供達とお留守番……」

「ダメよ。ローランドはトータをエスコートして行くから、ノエルが母様と行くのよ?」

 はい?!トータを?……トータは正式に側室にもなってないし愛人な訳だけど良いんでしょうか?

「良いわよ?フールフーガはそんなの気にしない国よ。名よりも実なのよ。フールフーガ流にトータを見るとれっきとしたローランドの奥さん。だから良いの。」

 ……だいぶ違うとは聞いていたけど、そうなんだ。そーだよね、デジレ様が提督の奥さんなんだもんね。気にする訳ないか。
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