Ωの僕がお偉いさん

月のきれいな夜が……

　僕は寝付きが良い。寝起きも良い。……夜中に目が覚めるなんて滅多にない事だった。月の位置からして今は真夜中。いわゆる“草木も眠る丑三つ時”ってやつだ。目が冴えてしまったので起き上がり窓の外を眺める。波の音というのは以外と耳に触らないのだとはじめて知った。雲もなく月が綺麗に輝いている。ちょっと気分がよくてテーブルの上に用意されてる冷ましたお茶を窓辺で飲んだ。

　……うーん、美味しいし風も良い感じで吹いていて景色も最高なんだけどちょっと物足りない。これがアーノルドとかならお酒を飲みながらとかで良いのかもだけど僕が手にしてるのはお茶。子供も大好き麦茶だ。
雰囲気的にイマイチいや自分のせいなんだけどさ。

「ノエル様眠れませんか？」

　まだ起きていたのか、爺が僕の気配に気づいたようだ。板一枚の壁とはいえ隣にいたのによく気がついたね。

「うん、ちょっと目が冴えちゃって。やっぱりはじめて国外に出て緊張しているのかな？」

「そんな事もありましょう。起きているのでしたら灯りを増やしましょうか。」

　僕は断った。だってせっかくの月夜だからね。

「そういえばノエル様は昔から寝付きが良かったので寝物語などした事がなかったですね。」

　一緒に月を眺めていた爺が思い出したように笑う。

「お話をしようと本を開いてお決まりの『むかしむかしあるところに』という段階でウトウトされて、『きれいなお姫様が』と物語の序盤で既に寝息をたてられてましたから。色々な物語を取り揃えてはいましたが寝物語というより字のお勉強でお聞かせしたようなものでしたねぇ。」

　そうだね、僕は寝付きがすごく良いから。いや待って一つだけ寝るのが怖くて爺を困らせたような？

「ああ、ございましたね。でもあれは怖い話でもなんでもないですよ？」

　えーと確か……我が儘なお姫様が好きになった王子様に宝物をあげようと頑張る話。確かに話の流れ事態はなんでもないよ？でもその宝物の見つけ方とかあげ方が怖かったんだよね。
　毒のあるカエルの巣にあった宝物を誰が欲しがるのさ。毒を毒で消すとか……結局あげるときも毒を使うとか……無いゎ。





お詫び

スミマセン、今書き手は風邪でダウンしております
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