Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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マオの特技

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「ごめんよ~、ノエル~。」

 と両方の頬を真っ赤に腫らしてマオが謝ってきた。

「ノエル様、本当に申し訳ない。こいつは全く何も考えてなかった。」

 コウのほうが恐縮しているようでしきりに頭を下げた。

「罰としてマストの監視台にぶら下げてみたんだが、マオは全然恐怖を感じてなくてな……」

 えっ?……マストの…監視台に?ぶら下げた?……ええと、コウやり過ぎ。あ、でもマオは平気なのか。
 窓から港の船を見てその更に上の監視台を見るととても恐怖を感じ無い様な場所じゃないと思う。足場はほんのちょっとで柵らしい柵も見え無い。そこにぶら下げたの?プラ~ンって?

「そう、足場を無くされて怖いだろう?っていう意味だったんだがコイツときたらロープが食い込んで痛いとしか感じなかったんだ。でもちゃんとお仕置きはしたから。」

「ひどいンだよコウは。お仕置きだっていうから準備してたのにオレの顔めいっぱい引っ張るんだ。何回も何回も!」

 ああ、なるほどね。

「当たり前だろ、毎回毎回ヤルのがお仕置きだと思うなよ?」

 なんだかどんどんマオのおバカ度が増してるような気がするんだけど。もぉ良いよ。アーノルドが僕たちが乗船下船の時はもっと違うスロープが作って教えてくれたから。

「教えて貰った?それは良かった。あんなのは慣れてなきゃ無理だって怒られてさ~、ノエルにちゃんとしたのを教えて来いって言われたんだけどオレ知らないもん。どーしようかと思ったんだ~。」

 悪気なくアハハと笑うマオにコウは頭が痛いようだ。

「マオ、お前この航海中ノエル様達の世話役だぞ?ちゃんとやれるか?」

「コウ、爺も居るから。」

 マオが自信満々に答える前に口を挟む。コウにはそれで伝わったようだ。そう、僕は言外に『マオは子供達の遊び相手兼僕のお話し相手』で充分だと伝えたのだ。

「大丈夫だぞノエル。オレだって海では役に立つぞ。」

 頬を膨らませて文句言っても説得力無いよマオ。

「オレくらい飛び込み上手で泳ぎ上手いのいないからな!」
 
 ……ってマオ、それ船から落ちたの前提で言ってるよね?僕達は落ちないようにしてるんだよ?いや、絶対に落ちないの!

「コウ、マオ……。」前提からして間違ってますよと指摘すると「スマン」とだけ返してきた。

「でもマオって泳ぎ上手いの?」

 まぁ海で育ったんだから上手ではあるのだろうけど、そんなに上手なんだ。

「ああ、潜れる時間も提督より長いな。ただ長距離泳ぐのは提督だ。まぁ、停泊中の食料確保部隊にはなってる。ついでにオレはあいつの命綱な。調子乗って深いとこまで潜るから強制的に回収する。」

 ……やっぱり迷惑かけてンじゃんマオ。ん?停泊中の食料確保部隊?確か南の島に行くまで1回何処かに寄るって言ってたよね?

 ……ええと、もう暖かい所だったよね。浜辺あるか調べとかないとね。あと浜辺用の服が欲しいな。作るか?いや、フールフーガにいい服あるんじゃないか?

「ノエル、声に出てる。全部聞こえてる。よし!オレがフールフーガ案内してやるよ!」

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