Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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提督、おねがい(🖤付き)

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 突然僕も王都に行くというノエルに3人が冷や汗をかき、2人は喜び、1人は面白がっていると、冷や汗をかいている内の1人であるカシスが爺に訪ねた。

「爺やさん、ノエル様の事をスサエナの駅で城のお3人とアーノルド様に隼で連絡しましたが、どんなことになりそうですか。私にはまだこの先が詠めませんが嫌な予感だけはします。」

 最近ノエルに付いたばかりのカシスではノエルの考えていることはわからない。だが、幼馴染みとして一緒にいたアーノルドからはノエルの行動の怖さをよく聞いていた。

「そうですね……ノエル様の中でアンリ様と離れるものがどうしても嫌な場合は『アンリ様を王族入りさせて養子縁組を困難にさせて時間を稼ぐ。』でしょうか。しかしこれは今回私が予想したものの中では一番穏やかで最もノエル様らしくないものです。私は最もノエル様らしく、私達が愕然とする事の筈だと思っています。」

 答えながらも爺は考えている。もっと斜め上の考え方で、非常識な事のはずだと。そしてなにかを思い出したかのようにマオをじっと見つめた。

「爺やさんは予想がついているのですね?」

「そうですね……先ほどマオが港町の話をしましたね。ノエル様の様子が変わられたのはその直後です。ということは、港町……交易……マオ……。」

 そこまでいくと爺は真っ青になった。こんな表情は初めてだ。

「カシス、恐らくノエル様は自分で海に出られると言うと思います。『アンリ様の将来を決める前に先ず自分で確かめる』と言って。
 養子に出すにしてもノエル様はどんな場所でどんな人や物に囲まれて、どんな生活を送るのかを見て納得してからでないとアンリ様に養子の話すらしないでしょう。」

「……まさか……えと、つまり……」

「ええ、お城で王様に提督に同行すると言うかと。」

 ……爺の言葉にカシスばかりかデジレまで言葉を失い頭を抱えた。そしてつい、カシスから洩れた「ちっとはじっとしてろ」という呟きに心から同意した。

「さすが爺~。」

 少し離れた所にいたはずのノエルとマオがすぐそばの席に来ていた。しかし驚いたのはデジレとカシスだけで提督と爺は途中から居たのを知っていたようだ。

「ノエル様本気ですか?」

 詰め寄るカシスは目で『止めて』と訴えているがデジレはもう諦めたのか、外の景色を見て「もうこんな場所か」と現実逃避していた。

「うん、爺の言う通りだよ。あってる。父様もきっと良いって言ってくれるよウン。」

「ええ!ノエル、海に来るの?!じゃぁ一緒にいられる?どこまで?」

 一人だけ事態の大きさに気づかないマオは凄く嬉しそうだ。ノエルの両手をとってブンブンと振り回して喜んでいる。

「どこまで?そうーだなぁ。ああ、新人さんが行くっていうあの港町を見たいなぁ。安全なんでしょ?道中は提督にお世話になるし、大丈夫だよね。」

 にっこり笑って提督を見るノエルの背中に悪魔の羽が見えたのはデジレだけではなかったが指名を受けた提督は心から面白がるように珍しくも大声で笑った。
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