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お話があるというので
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やっぱり来た。
僕がパーティーの為に贈った衣装で話があると知らせが来て、時間をとってほしいって。まぁ、本当はパーティーの後に来るかもって思っていたんだけれど、どうせ話す内容は同じだろう。
・この生地はなんだ
・いつからあった
・新しい交易品になるのか
この辺りだと思うんだよね。この他には思い付かないし。
トントン とノックが聞こえた。このノックの仕方はアーノルド。「どうぞ~」と答えて待つと微妙な顔をしたアーノルドが入ってきた。
「どうしたの?アーノルド、浮かない顔して。」
「どーしてじっとしてないんだか……。」
え?何言ってるの?僕ここでおとなしく待っていたじゃない。デジレ様からお知らせが来て、『じゃぁこの時間までまったりしましょ。』ってこうやってお茶しておやつ食べて。マオも読んでないし、部屋にウサギを連れ込んでもいないよ?
「…ああ、ウサギを連れ込んでいた方が随分良かった。」
「いや、おとなしく待っていたじゃない。」
「今はね。……取り敢えず、父上達の部屋に行こう。」
うん。エスコートよろしく。と手を差し出したらアーノルドはその手をじっと見て、「こっちだな」と呟くと僕を抱えあげた。
いきなりの視界の変化に目が回ったけど抱えられてるのだから倒れることもないのでまぁいいや。
……でもなんか、嫌な予感だよ。
……難しい顔が5つ。あれ?爺がいる!
爺~。ってなついたら爺に「ホントに困ったお人ですね」ってため息をつかれた。
「もう爺じゃなきゃ止められない。」
「この方の行動をどうやって抑えてこられたのか……。」
「何故ここに提督、デジレ様、アーノルド様、カシスに私が揃っているのかお分かりになりませんか?ノエル様。」
うーん、衣装について呼ばれたと思っていたけど違うみたいね?
「いいえ、あっておりますよ。確かにこのお衣装についてです。ノエル様、この衣装について呼ばれるとは思っていたのですね?」
「珍しい生地でしょ?滑らかで光沢があって。手触りはいいし着ていても暑苦しさもない、軽くて気持ちいいでしょ?」
ウフフン。爺に内緒でしてたわけじゃないけど、Ωの人ばかりが働く農場と工場だからさすがの爺の情報網も弱い場所だもんね。
「ノエル殿、いただいたこの衣装はなんという生地で作られましたか?」
よくぞ聞いてくださいましたデジレ様。
「これは、シルクというものです。特産にしようと思ってまして。」
ちょっと胸を張って言うと、大きなため息で返される。……え?何?どういうこと?何か悪かった?
と爺を見ると、爺も困ってるらしい。珍しいな。
「ノエル様、これは王妃様はご存知ですか?」
「そろそろ母様のところにも着くんじゃないかな?」
知らせなかったら拗ねちゃうじゃない?と言うと少しだけ安心してくれたみたい。
「でも何故?」と続けるとアーノルドから答えがあった。
「問題はこの国の王が持ってるかどうかなんだ。いいかいノエル。ノエルはあまり頓着しないけどこのエルドゥドという国はあらゆることで一番の国なんだ。そこの王様も王妃様も持ってない美しい物は問題になりやすいんだよ。」
僕がパーティーの為に贈った衣装で話があると知らせが来て、時間をとってほしいって。まぁ、本当はパーティーの後に来るかもって思っていたんだけれど、どうせ話す内容は同じだろう。
・この生地はなんだ
・いつからあった
・新しい交易品になるのか
この辺りだと思うんだよね。この他には思い付かないし。
トントン とノックが聞こえた。このノックの仕方はアーノルド。「どうぞ~」と答えて待つと微妙な顔をしたアーノルドが入ってきた。
「どうしたの?アーノルド、浮かない顔して。」
「どーしてじっとしてないんだか……。」
え?何言ってるの?僕ここでおとなしく待っていたじゃない。デジレ様からお知らせが来て、『じゃぁこの時間までまったりしましょ。』ってこうやってお茶しておやつ食べて。マオも読んでないし、部屋にウサギを連れ込んでもいないよ?
「…ああ、ウサギを連れ込んでいた方が随分良かった。」
「いや、おとなしく待っていたじゃない。」
「今はね。……取り敢えず、父上達の部屋に行こう。」
うん。エスコートよろしく。と手を差し出したらアーノルドはその手をじっと見て、「こっちだな」と呟くと僕を抱えあげた。
いきなりの視界の変化に目が回ったけど抱えられてるのだから倒れることもないのでまぁいいや。
……でもなんか、嫌な予感だよ。
……難しい顔が5つ。あれ?爺がいる!
爺~。ってなついたら爺に「ホントに困ったお人ですね」ってため息をつかれた。
「もう爺じゃなきゃ止められない。」
「この方の行動をどうやって抑えてこられたのか……。」
「何故ここに提督、デジレ様、アーノルド様、カシスに私が揃っているのかお分かりになりませんか?ノエル様。」
うーん、衣装について呼ばれたと思っていたけど違うみたいね?
「いいえ、あっておりますよ。確かにこのお衣装についてです。ノエル様、この衣装について呼ばれるとは思っていたのですね?」
「珍しい生地でしょ?滑らかで光沢があって。手触りはいいし着ていても暑苦しさもない、軽くて気持ちいいでしょ?」
ウフフン。爺に内緒でしてたわけじゃないけど、Ωの人ばかりが働く農場と工場だからさすがの爺の情報網も弱い場所だもんね。
「ノエル殿、いただいたこの衣装はなんという生地で作られましたか?」
よくぞ聞いてくださいましたデジレ様。
「これは、シルクというものです。特産にしようと思ってまして。」
ちょっと胸を張って言うと、大きなため息で返される。……え?何?どういうこと?何か悪かった?
と爺を見ると、爺も困ってるらしい。珍しいな。
「ノエル様、これは王妃様はご存知ですか?」
「そろそろ母様のところにも着くんじゃないかな?」
知らせなかったら拗ねちゃうじゃない?と言うと少しだけ安心してくれたみたい。
「でも何故?」と続けるとアーノルドから答えがあった。
「問題はこの国の王が持ってるかどうかなんだ。いいかいノエル。ノエルはあまり頓着しないけどこのエルドゥドという国はあらゆることで一番の国なんだ。そこの王様も王妃様も持ってない美しい物は問題になりやすいんだよ。」
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