Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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密航者達

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 あまりの人数に僕はびっくりだよ。普通密航者って聞いたら1人だと思うじゃない?それが8人もだなんて思わないよね?!もうこれは密航者じゃなくて密航団って言うんだよ。
 彼らの代表はなんと17才の子だった。一番小さい子は6才だったからその年齢の差にもびっくりした。

「はじめまして。こいつらのリーダーしてるダグといいます。どうかこいつらを宜しくお願いします!」

 皆、ぼろぼろの格好で靴もはいてなかった。このグループはどうやらそうとうな苦労の末ここまで来たようだ。

「俺の出身は海を3つ越えた所です。最初は妹との2人旅でした。国を出たのは6年前です。飢饉で食えなくなって5才だったΩの妹を売ると言う話を聞いて連れ出しました。その後港町で働いてたらΩの楽園が有ると噂を聞いて海を渡りました。でも行った国ではΩの迫害が酷く逃げ歩くうちに仲間が増えて一番多いときは15人もいたんです。」

 語るも涙聞くも涙の話はあっという間に僕のハンカチを使い物にならなくした。自分にも子供がいるせいか子供の苦労話は弱くてね。
 仲間を先に行かせるために残った子や力が続かず儚くなってしまった子、その別れを乗り越えてやっとフールフーガにたどり着き、噂のΩの楽園が僕の領だと知って一生懸命働いたそうだ。でもフールフーガは税金管理や戸籍等がしっかりしている国なので戸籍のない流れ者の賃金などたかが知れており、10才の子が亡くなった事で密航を決めたらしい。

「俺は一応αらしいので、こいつらをつれ歩くのにも限界が来てたんです。でもどうにかして安心して暮らせる場所まで連れて行きたくて……」

 僕はグスグスと鼻をならしながら必死で考えた。このαの子も何とかしてあげなきゃ!……コウ、君なら何とかしてあげられるよね?この子は途中で置いてきた子達も迎えにいくつもりらしいので、お願いね。コウに頼んだけど後ろのマオがウンウンと頷いた。

 僕が泣き止まなくなってしまった為、カシスからアーノルドへ連絡が行き、アーノルドが提督と話をしてくれたのでダグは船の乗組員になれる事になった。名目上は乗船賃金を働いて返すということで。
 そして残った7人中5人がΩだったのその5人を僕が、残り2人のβの子をアーノルドが引き取った。もし兄弟がいるのだとしたら引き離すのは可哀想とも思ったがダグはその辺もしっかり話していたらしく、聞き分けてくれた。

 2日ほどお別れのための時間を用意して今日の朝5人の子を先にスサエナに送った。しょんぼりとした子達を慰めるためにせめて汽車の旅を楽しんでもらおう。隼君を飛ばして向こうではトータが迎え入れの準備を整えていてくれてるというので安心だ。
 ……え?安心してるよ本当だよ?だって爺を残して来てるもん。

 「ノエル~、子供らの事も片付いたろ?あと3、4日で俺らも出港するから今日はいっぱい話そ~。」

 このところ放っておいたので寂しかったらしい。しょうがないね~、良いよ~今日は……あれ?アーノルドも一緒に来たの?珍しいね。あれ、コウもか……えーと、なんかコウとアーノルドが内緒話してるように見えるけど、どうしたの?
 ちょっと嫌な予感しかしないんですけど!
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