Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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講習終わり

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 トータは4日かけてお見合いに出席した年齢の子に講習をした。生徒からの反応は思った通り、“恥ずかしかった”というものと“分かりやすくて良かった”というものだった。誰かに聞こうにも聞いて良い内容なのかもわからず困っていたり悩んでいたらしいから成功といえるだろう。
 ……辺りのα達からは怒られたが。でもこれってαにはわからないΩならではの悩みなわけよ。そしたらやっぱり僕が先にたって行かなきゃでしょ!
と張り切っていたんだけどね、アーノルドからお叱りの手紙が来たのは流石にしょんぼりだ。

「ノエル様、先ほどシャールから話を聞きました。……ちょっと恥ずかしいけど必要な講習会だったとか。猿を見たときは“あれはないだろう”と思ったんですけどね。なのでアーノルドと爺やさんにあの猿を渡す事はやめてあげます。」

 シャールとはカシスのパートナーになった生徒の名前だ。薄い金髪の髪がきれいな子だ。本人も気に入ってるのか入学からずっと伸ばしており今は腰の辺りまでの長さになってる。

「ノエル様とトータ様があの猿をふざけた理由で作った訳じゃないのはよくわかりました。ですがあれは学校の奥底で保管して下さい。」

「大丈夫だよ、あれはあの講習会専用だもの。今年は初めてやったから何日もかけて講習会したけど来年からはある年齢になったら受けるというようにすれば年一回ですむから。講習会も今回のを見た保健医さんがやってくれるらしいし。」

 お猿は保健室に預けて来たと聞いたカシスは心からほっとした表情を見せた。


・・・・・・・

カシスとシャールの会話

「カシス様、いらっしゃっていたなんて知りませんでした。……どこからご覧になってました?」

 アーノルドからの手紙でノエルを探しに学校に来ていたカシスが例の講習会の教室でパートナーのシャールを見つけた。思いの外真剣に講習を受ける生徒に、もしかしたらΩ性の者にとっては大事な事柄なのではと思い直し講習会に踏み込むのをやめた。
 思い止まったのは正解だろう。講習会を途中からカシスが見ていたと知ったパートナーはとても恥ずかしがっている。
 顔どころか耳や首まで真っ赤になり下を見たままカシスの顔を見てくれない。

「何が恥ずかしいの?シャールはちゃんと真面目に講習を受けていたじゃないか。」

 顔をあげてくれないので肩を抱き寄せ頭のてっぺんのつむじにキスをする。ここでちょっとしたいたずら心を起こしたカシスはまだ下を向いてるシャールの耳元でそっと囁いた。

「ちゃんとノートはとったの?」

 そのとたん赤い顔を更に赤くしてカシスを見たシャールはおもいっきり首を横に降った。
 講習会を見たカシスはノートはとってないことをもちろん知っている。……とれるような内容ではないが。ノートをとっていたのは教室の後ろで翌年からこの講習を任される保健医だけだ。

「なんだ、残念。教室の外ではトータ様が喋ってる内容はあまり聞こえなかったからノートを見せてもらおうと思ったのに。」

 内容は聞こえなかったという言葉にあからさまにほっとした様子のパートナーにまた囁いた。

「でもあの猿の股間をシャールが見てたのは許せないな。」

 ぎょっとした様子のパートナーを抱えあげて去っていくのを見た売店員は『もしかしてS?』と呟いた。
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