Ωの僕がお偉いさん

マオの為の打ち上げ

　お見合い成功者の要望を聞く事はその日のうちには終わらず、次の日も必要とした。要望を聞く為なので要望を出す確率97%のα側だけが集まれば良いだろうと思っていた僕はひどい目に遭った。

　なぜ、パートナーである◯◯を呼んでくださらないのですかと詰め寄られ、呼んだら呼んで『昨日ぶり』といちゃこら。いい加減要望を話せというと、結局生徒はニコニコと頷いてるだけ。パートナーの意見を入れつつ決めたいことがあるというので呼んでるのに結局はα側の要望のみだ。生徒側が発言するとすれば、「はい、もちろんです。」「ええ…良いんですか？じゃそれで。」「嬉しい」などの肯定の返事のみだ。たまーに僕にお願いがあるという生徒がいたが「◯◯様の家から通えますか？」とか言ってくる。
　……ここは『寄宿学校』ですよ！大前提の寄宿を無くそうとするな！そして「是非お願いしたい」というα側を説得しないといけなくなる。

　そんな大忙しの一日の終わりになぜ“打ち上げ”なるものに出ているのでしょうか？それはマオからの“期待”があるからだ。マオは昨日、今日共にとてもおとなしくしていた。コウというお目付け役もいたけどそのコウによれば「走らず騒がずどこか悪いのかと思った」というくらいおとなしくしていた。でもその訳を皆が知っている。『お見合いパーティーに出れない=イコールご馳走無し』の図案に思いやったマオはこの“打ち上げ”を提案してきた。「打ち上げがあるならちゃんとおとなしく待ってるってば！」という脅しと共に。

　ご馳走のメニューはパーティーの時とあまり大差はない。パーティーの最中あまり食べる暇がなかった僕はこの打ち上げでいっぱい食べたけどね。

「ノエル～、刺身がない～」

「それはグリフウッドで食べてよ。それよりこのチーズたっぷりのパスタはどう？マオの大好きなベーコンもたっぷりだよ～。」

　目移りしながらも次から次へと口に入れるスピードに僕もトータも目を丸くする。よく喉につまらないなと感心すらしてしまうじゃないか。

「あ、そーだそーだ。忘れると事だった。コレ」

　とポケットから手紙を出してくる。
誰から？……えっと、提督から？ちょっとこんな大事なもの忘れないでよ。しかもフォーク咥えながら渡さないでよね。

　えーとなになに？『この度の催しを感謝する』……いえいえとんでもない。『我が国からの参加者は大変期待している』……大丈夫ですよ～、昨日ちゃんとお相手見つけてました。『感謝の礼として贈り物を用意した』……あらあら、そんな、ありがとうございますぅ～。なにかな～。『守るべき者が見つかった者はよりその力を発揮するだろう』……α側そうですよね。『その機会を今後とも』……ああそうね、今後もあるよね。ん？…………『来年には我が国の皇太子の子供が成人を迎える』って、もう来年の予約が……。

　「マオ、大事な伝言があるだろう？ノエル様、この催しで見事全員お相手が見つかった場合、お礼としてカラヴェルを用意してあるという事です。」