322 / 685
庭師の見た年越し
しおりを挟む
今年の年越しはいつもより慌ただしい。それはお客様がいるからだ。ノエル様のお友だちのマオ様と保護者?のコウ様が来ている。家出したアンリ様を連れて帰ってくださったのだが、せっかくだからとノエル様が一緒に年越しをしようと残っていただいていた。……王様は速攻で送り返していたが。
何となくだが、うるさ……騒がしくなりそうだ。
「いぇ~!はっぴーにゅーやー!」
「何ソレ。」
「新年、おめでとー!」
「アハハハハ!ノエル呂律回ってないよ~。
もぅ、お酒弱いって本当なんだね。」
しっかりワイングラスを握って赤い顔でケタケタ笑いながら、楽しそうだ。マオは『年またぎでお喋りしよう!』とノエルに誘われたのでコウの荷物からワインを失敬して持ってきたのだが、グラス2杯でこの有り様だった。良いワインらしいので気どってグラスにちょっとしか注いでいないのに……。
「ねぇノエル、大丈夫?今日はずっとお喋りしてようって言ってたのに、寝ないでよ?」
「大丈夫、大丈夫!なないよ!」
「……“なない”ってなんだよ~。じゃあ、ベッドでお喋りしよう~。」
ノエルが頷いたのでワイングラスを外させて部屋に連れていく。コウみたいにお姫様抱っこできれば安全だったんだけどな~と階段下で思っていると、何処からともなく爺が来てヒョイと抱えあげた。ノエルは慣れている爺の抱っこに驚きもせず「爺~」と嬉しそうにまた笑っていた。
ノエルのベッドはとてつもなく大きい。普通のベッドは縦の方が長いのに目の前のベッドは横が長かった。そのベッドを見てマオは悪戯心がムクムクと沸き上がってきた。
「ねぇノエル、オレも一緒に寝ても良いの~?」
「大丈夫~。」
「ふーん。じゃあ、いーっぱいお喋りしようね!
あのね~、オレ前から聞きたいことあったんだけど、悪いかなぁって思って聞けなかった事あるんだけど聞いても良い?」
「何、何?いいよ聞いて?」
広いベッドの中に座り込んでマオの手を引っ張って誘いながら何にも警戒する事なく返事をした。
「本当~?うれし~。
ノエルはアーノルド様とは“運命の番”なんでしょ?」
「うん。」
「アーノルド様とのエッチって気持ちいい?」
……あ、顔がゆでダコみたいになった。モジモジしてるのも可愛い。
「………………うん。」
カワイイハセイギ!
「じゃあさ、じゃあさ、」とマオは質問を続ける。ノエルはモジモジ…テレテレ…としながらも律儀に答えていった。
翌朝、2人で手を繋ぎながら散歩している様子を見て使用人達はホッコリした気持ちになった。
……約2名を除いては。
「マオ!!オレのワイン、知ってるよな?」
「ノエル様、酔うほど飲まれないようにとご注意したはずですよ?」
「エヘヘ~」と笑って誤魔化し、逃げの一手を決めたらしい。庭師団自慢の迷路に逃げ込んだ。庭師団が端正込めて作り上げたこの生け垣の迷路は実は子供の身長くらいのアーケイド等もあるので大人には辛いのだ。
……だけど、気づいてほしかった。出口は1つ。爺やさんとコウ様はその出口の両脇に立ってる。
ノエル様、頭良いくせに時々普通のΩそのものの様なこういうことやらかす。
オレら庭師団は苦笑いしながらプラーンと子猫のように捕まって連行される2人を見送った。
……今年も平和なようだ。
何となくだが、うるさ……騒がしくなりそうだ。
「いぇ~!はっぴーにゅーやー!」
「何ソレ。」
「新年、おめでとー!」
「アハハハハ!ノエル呂律回ってないよ~。
もぅ、お酒弱いって本当なんだね。」
しっかりワイングラスを握って赤い顔でケタケタ笑いながら、楽しそうだ。マオは『年またぎでお喋りしよう!』とノエルに誘われたのでコウの荷物からワインを失敬して持ってきたのだが、グラス2杯でこの有り様だった。良いワインらしいので気どってグラスにちょっとしか注いでいないのに……。
「ねぇノエル、大丈夫?今日はずっとお喋りしてようって言ってたのに、寝ないでよ?」
「大丈夫、大丈夫!なないよ!」
「……“なない”ってなんだよ~。じゃあ、ベッドでお喋りしよう~。」
ノエルが頷いたのでワイングラスを外させて部屋に連れていく。コウみたいにお姫様抱っこできれば安全だったんだけどな~と階段下で思っていると、何処からともなく爺が来てヒョイと抱えあげた。ノエルは慣れている爺の抱っこに驚きもせず「爺~」と嬉しそうにまた笑っていた。
ノエルのベッドはとてつもなく大きい。普通のベッドは縦の方が長いのに目の前のベッドは横が長かった。そのベッドを見てマオは悪戯心がムクムクと沸き上がってきた。
「ねぇノエル、オレも一緒に寝ても良いの~?」
「大丈夫~。」
「ふーん。じゃあ、いーっぱいお喋りしようね!
あのね~、オレ前から聞きたいことあったんだけど、悪いかなぁって思って聞けなかった事あるんだけど聞いても良い?」
「何、何?いいよ聞いて?」
広いベッドの中に座り込んでマオの手を引っ張って誘いながら何にも警戒する事なく返事をした。
「本当~?うれし~。
ノエルはアーノルド様とは“運命の番”なんでしょ?」
「うん。」
「アーノルド様とのエッチって気持ちいい?」
……あ、顔がゆでダコみたいになった。モジモジしてるのも可愛い。
「………………うん。」
カワイイハセイギ!
「じゃあさ、じゃあさ、」とマオは質問を続ける。ノエルはモジモジ…テレテレ…としながらも律儀に答えていった。
翌朝、2人で手を繋ぎながら散歩している様子を見て使用人達はホッコリした気持ちになった。
……約2名を除いては。
「マオ!!オレのワイン、知ってるよな?」
「ノエル様、酔うほど飲まれないようにとご注意したはずですよ?」
「エヘヘ~」と笑って誤魔化し、逃げの一手を決めたらしい。庭師団自慢の迷路に逃げ込んだ。庭師団が端正込めて作り上げたこの生け垣の迷路は実は子供の身長くらいのアーケイド等もあるので大人には辛いのだ。
……だけど、気づいてほしかった。出口は1つ。爺やさんとコウ様はその出口の両脇に立ってる。
ノエル様、頭良いくせに時々普通のΩそのものの様なこういうことやらかす。
オレら庭師団は苦笑いしながらプラーンと子猫のように捕まって連行される2人を見送った。
……今年も平和なようだ。
32
お気に入りに追加
2,676
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる