Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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アンリ

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 凄くドキドキした。飛行船の中でお祖父様達の荷物に潜り込み、そのまま船の中へ。床におかれたのでお部屋かと思って除いてみれば甲板だったけど誰もいないようなのでちょうど良い。船員さんたちは総出で荷物の運び込みや出航準備とやらに忙しく僕に気づかなかった。僕の方も気をつけて移動。早々に見つかると送り返されるから、見つかりにくい所に隠れなくちゃ!
 僕はリンゴの樽の中へ隠れることにする。



「こいつ!何処から入り込みやがった!」

 退屈で眠ってしまったら、引きずり出されていた。襟首を持たれて上に引き上げられてるので苦しい!大きな手で頭もがっしりと鷲掴みされているのも痛い!

「!なんとか言いやがれ!こいつ!」

 いや、言えないでしょこれ。首しまってるもん。

「おーい!密航者だ!密航者!」

 有無を言わさず仲間を呼ばれる。慌ててお祖父様を呼んでもらおうと思ったけど、僕を捕まえてる船員は襟首を捕まえてる手はそのままにもう片方はベルトを掴んで荷物のように持ち上げた。そしてそのまま甲板へ。密航者というワードに船員があちこちから集まって来る。モップや棍棒のようなものを片手に来る船員もいる。集まる船員の容貌に不安を覚えてマストを見上げると間違いなくお祖父様の紋章は掲げられている。……なら、なぜこの船員達はこんなに粗野なんだ?!

「めんどくせーなっ!!捨てちまえ!」
「どーやって入り込んだんだ?」
「良いとこのガキっぽいなぁ。」
「放り出せっ!」

 次々と声が飛んでくる。それに対して僕を捕まえてる船員は「餌場じゃ無いんだから投げ込んでも可哀想だろ」と返している。意味不明な会話だ。
「どうする?」と相談が吊るされたまま頭の上で交わされている。とりあえず身分を証してお祖父様を呼んでもらわなければちょっと危ない方向に片づけられそうだ。

「ちょっと離して貰えませんか?!僕はお祖父様に会いたいんです!」

 ガヤガヤと相談する中でも聞こえるように頑張って声を張り上げる。

「うるせーよ!」
「密航してるくせに何を偉そうに!」
「そもそも先ずはゴメンナサイだろうが!!」

 ドスンと音がしそうな乱暴な動作で近くの樽の上に下ろされる。そしてまたもや頭をがっしりと鷲掴みだ。

「あのなぁ、よく聞け。坊主が良いとこの坊っちゃんなんてのは見りゃわかんだよ。どうせ何にも考えずに乗って来たんだろ?だがなぁ、海はそんなに生易しい所じゃねぇぞ。この船だって計算し尽くされて航海すんだ。坊主は数に入ってない。野菜、水、果物全部が人数分なんだよ。坊主が増えると何処かで減らさなきゃならねぇ。毎日働いて飯が楽しみの奴らに充分に行き渡らねぇんだわ。これがどういう意味かわかるか?」

 目を覗き込むようにして顔をあわせてゆっくりとした口調で教えられる。理解しろというようにゆっくりとだ。
 ……そこまで考えてなかった。ゴメンナサイ。

 気持ちが萎んでいく。母様にイラついてお祖父様になら喜んで迎えてもらえると疑わずに、その他の事などなにも考えずに来てしまった。この船員達が怒っているいるのだからお祖父様にとっても迷惑なのだろうか。項垂れて黙ってしまった。
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