Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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凱旋

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 先触れの騎士があと数刻で到着予定だと伝えてきた。今僕達は城の大広間で王様の戦勝布告を受けたところだ。タイミングの良い凱旋報告にゾロゾロと皆連れだって外へ移動。おそらく王様はバルコニーから報告を受けて労いの言葉と報償を与えるだろうから、それを見物しに行くんだ。

 いい加減待つのに飽きてきたところで町の中がざわつき始めた。次第に拍手や歓声が大きくなり、見間違う事など出来ない大きな体格の人が見えた。提督だ!順位からいえばそのとなりにはローランドのはずだ。うん、見えた。ローランドが真ん中で左右を提督とデジレ様で固めてる。トータは……おそらく荷馬車の中で寝ていたらしい。


「それでね、向こうの将軍は皆臭いの!」

 出迎えたトータは興奮状態で喋り続けている。
喉が乾きそうなので冷たいお茶を渡すと一息に飲み干して……落ち着いたようだ。

「手紙にあった他にもやった事って何なんだ?」

 いたずら好きのマオはそこが気になるらしい。

「うん。デジレ様がね、敵の足を遅くするためなら何しても良いって言うから、栗のイガを撒いたりドングリ撒いた。あとは“熊出没注意”の看板たてたり草を編んで足を引っかけて転びやすくしてみたり~。でも一番褒められたのは草刈りだったけどね。」

「草刈り?何で?」

「煮炊き用と馬のエサ用で。
下草を刈ったことで敵が隠れる場所を無くしたって誉められたの。」

 良かったじゃないトータ、デジレ様に誉められるなんて滅多にないよ?僕1回も誉められた事なんてないもの。あんなにいっぱい役に立つ物作ったのにね~。何でだろう?……ハッ!!もしかしてこれが嫁姑関係で有名な嫁いびり!?

 僕達がこんな馬鹿なことを私室で話している間、謁見室では堅苦しい報告が行われているはずだ。僕?僕は体調不良でお休みですよ。……エエそうです“何を言い出すかわからないから欠席しなさい”と母様から言い渡されたんです。いいけどね。もう明後日には領に帰るからその用意とかあるから。そろそろ爺からも手紙来そうだし。留守番のシモンからは何回か手紙きてるから帰ってあげないと。
 帰りの予定は既に言われている。まず提督とデジレ様、マオが僕達と一緒にスサエナに行って僕達を降ろしてグリフウッドに行ってから帰るらしい。
え?このあとの帝国との交渉?父様と母様がするらしいよ。っていうか飛行船から降ろされた帝国の主……ひどい怪我してたけど大丈夫かな?

「心配ないよ。あれ顔が腫れてるからそう見えるけど見た目ほど酷くないさ。艦長についていったうちのヤツが言ってたけど、艦長ヒマだったらしくてあっちの城に素手で乗り込んで粗方なぎ倒したらしい。でも残ってたやつらが貴族の跡取りのみで作られたお飾り兵隊だったらしくて、物足りなくてつい……。」

 ……え……もしかして、“つい”で帝国主を殴り倒したの?まさかね~。……え?本当!?ダメでしょ。
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