Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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トータと。

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 食事の後、αは全員シガールームへ移動したので僕はトータと久々の再開で浮かれていた。

「いつからローランドは煙草吸うようになったの?」

「ううん、吸わないよ?アーノルド様も吸わないでしょ?」

 ……ああ、そうか。アーノルド達のように若いαはあまり煙草を好まないけど、ちょっと前の世代のαは絶対といっても良いほど吸っている。お付き合いってヤツですね。

「でも臭い着けて帰ってくのも嫌なんだよねぇ。」
「帰ってきたとき匂うんだよね。」

 同じタイミングで同じような事を言うので2人で顔を見合せて笑ってしまった。
 そしてしばらく子供の話とか近況の様子を話していたんだけど、今回デジレ様が居てビックリしたという言葉からデジレ様の護衛として来ているはずのマオの事を思いだし会いに行って見ることにした。

 デジレ様達は来賓用の南館に滞在中だと聞いたのでトータと2人で向かうと“ここは本当に城かな?”と思わずにはいられない様子になっていた。長期の滞在になるかもというせいか全て異国の様に模様替えされていた。例えていうならゴシック様式の城にイスタンブールが現れたって感じ。
 スサエナ特産の模様のある織物のようではなく、一色の羊毛で織られた無地の絨毯はシックな大人な演出をしている。
 
 ……こういうのも良いけどたぶんスサエナの職人には無理だ。だってスサエナの絨毯職人って実はΩや老人ばかりじゃなくて知能にハンデを持つ人が多い。集中力がすごくて丁寧でとても良い仕事をする反面一色は飽きちゃうらしい。仕方ないよね。

「誰かと思ったらノエル様じゃん。久しぶり。」

「っ!!…わぁぁ!!……?」

 いきなり後ろからかかった声にビックリしたのも一瞬で目の前のマオに違和感を感じた。何て言うの?…こう……なんだろう?

「どうしたの?俺、わかんない?」

「ううん、マオ久しぶり。……いや、なんていうか、変わった?」

「そりゃ変わるでしょ。もう何年も会ってないもん。背も伸びてるし腕も太くなってる。声も変わったでしょ?」

「……うんまぁ、そうだねぇ。……だけじゃなくて?」

 基本はまだいたずらっ子のような感じなんだけどなんだろうね……ああ、洗練された感じだ。子供の頃のマオはいたずらばっかりの子だったらしいから。

「そっちの子は……噂のトータでしょ?」

「噂?」

 2人揃って首をかしげてしまう。どんな噂だ?
(何したの?)(何もしてないよ?)と目で会話してまた首をかしげる。

「ああ、噂ってね……皇太子の子猫ちゃんって事。」

 ……ああ!なるほどねぇ……子猫。うんうん。

「……子猫……。」

…………。シーンとした空気が流れ、その流れを切るようにマオが話し出した。

「そ・そういえば、ノエル様にお土産があるんだ!普通なら渡せないけど今回は会えると思って、持ってきてたんだ!」

 わざとらしいけど助かった。
案内されて大きいクッションにのめり込むように凭れながら待っていると大きい編みかごに入れて持って来る姿が見えた。
 決してモフモフして2人でキャッキャッしてなんてないよ、ホントだよ。
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