Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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僕はしがないΩです

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 「さて、揃ったところで今一度確認するとしよう。開戦の使者を寄越したのは西の隣国“ポーリシア帝国”だ。5代ほど前の我が国と度々小規模のいさかいを繰り返し、ポーリシア帝国の女帝を我が国が撃った事で収束。以降、ポーリシア帝国は女帝の弟が継いだがいさかいはない。国の大きさは我が国とさほど変わりはないが砂漠を抱えるため農作物は少ない。また、海もあるが年々、海に土地が侵食されているらしく……まぁ、領土が少なくなったんで欲しくなったと。」

 あ、途中で父様の説明が疎かになったあげく簡単な一言で終わった。面倒になったんだね?今この執務室内でポーリシア帝国の歴史知らないのトータだけだし、そのトータは関心が無いようなので仕方ないか。

「ポーリシア帝国は我が国の領土の一部と海の利権を求めてきておる。」

「領土の一部と海の利権を求める理由は??」

「その辺りはこの2名から聞いてほしい。ポーリシア帝国と接する領土の領主、ギルニア公爵とラーラン辺境伯爵は前に。」

 父様の命令で中央に移動し礼をしたのは非常によく似た2人だった。年は父様と同じくらいか?細身の長身で両方とも赤い髪を後ろに一つで結んでいる。目の色も同じ焦げ茶色、ただよく見るとギルニア公爵と名乗った方はややくせ毛らしくちょっとだけ毛先がうねってる。このお二人は先々王……僕のひい祖父様の弟の子孫で双子なんだって。

「弟のラーランからご説明致します。」と公爵が場を譲った。公爵の方は後ろの壁に2国の大きな地図を貼ったり、ピンや印をその地図上に配置したりと裏方的な事をしている。……公爵様ってそれで良いのか?と思い見ていると「適材適所なんですよ。私は何でも信用してしまう、だから後方支援担当です。ラーランは慎重で……臆病なんです。それゆえ諜報活動や口返し思案し、広い視野をもっていますよ。」と笑って教えてくれた。
 公爵の言った“臆病”という単語に辺境伯は「人間、臆病なくらいで丁度良いんですよ。」と苦虫を潰したような顔で反撃している。それを見ている父様はニヤニヤしてるのでこのような軽口は日常茶飯事らしい。

 国境のある領土の領主はまず忠誠心が高いこと。それから、広い視野を持ち広い心の者であること。これが揃っていれば良いと言われる為、大抵はこの2名のように血縁関係の人が多いと聞いていたが、血縁関係だけではなくこの様子から以前から結構交流があったのだと思った。
……ちょっと戦の話し合いの雰囲気じゃ無いけどね?

 そして公爵がポイントしていく場所と書き込みの文字に目をやった僕は、最初は“ふーん”程度だったのに今は“あれ?……えっと?……あ、もしかして。……。”という心境だ。
 だって……あのポイントの場所には少なくとも多少は僕が関わっている物が存在している。
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