Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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シモンのお手紙

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 敬愛する陛下、王妃様へ

 お爺様お婆様、おかわりありませんか?私たち兄妹は元気です。母から連絡があったかもしれませんが私は将来のため、父のもとで暮らしながら勉強に務めたいと思っています。ですが、気がかりなのは母です。Ωとはいえαをも凌ぐ政治行い領地を纏める母ですから理解してもらえると思っていたのですが伝えた瞬間から泣き崩れ、もう三日も泣き続けています。先ほど爺が呼ばれて来たので少し落ち着いた様ですが、覗いてみたら顔がパンパンに腫れ上がり目の下にはクマができていました。この様子では私が父の元に行くのは先送りにするしかないのでしょうか。どうかご助言をお願いします。   シモン


 この手紙を受けとるや早馬で飛ばして来たのは、最早慣れっこの母様。この国の王妃だ。

「ノエル。……ひふぉい………ひどい顔…ですよ。」

 母様……笑うの我慢してるね?ちょっともれて“ひどい”と言う所を“ひふぉい”って言っちゃったよね?ちゃんと聞こえてるよ。口元が震えてるよ……拗ねるよ?

「……ノエル。いったいどうしたというのですか?貴方のその聡明な頭ならちゃんとわかってる筈でしょう?」

 僕の機嫌が斜めになりかけてるのをわかっていながらあっさりとスルーして、僕を庭に連れ出した。向かった先は僕のお気に入りのウサギ広場だ。機嫌が斜めになるのはスルーするけど、さりげなく僕を癒す場所につれだすのはさすがに母様だ。

 そっと辺りを見渡して子供たちが居ない事を確認する。館からこの場所が見えないのはもうずっと前から知ってるので母様に甘えるべく口を開いた。

「シモンはまだ幼いです。まだ8才ですよ。誕生日を待っても9才です。」

「確かにまだ幼い子供です。しかしもう8才なのですよ。貴方が私達に自分の将来のための計画を打ち明けたのは7才ですよ?」

 ……また古い事を。うん。確かに僕はもっと幼い頃から準備を進めて来ていたね。

「でも、母様……シモンは僕を納得させるだけの物が無いのです。」

 自分は両親が心配しないように、大丈夫なのだと安心させる為に将来の準備を見せた。これだけの覚悟と下準備が有るのだと、そしてそれをより確実にするために更に準備をするのだと示した。でもシモンはそれが無いので心配なのだと母様に募った。

「ノエル……あの子が向かうのは父親の元ですよ。確かな身分と守る者達があるではないですか。それにあの子が行くのは領主の跡取りとしてしなければならない事ですよ?」

 ……解ってはいるんだよ。いるんだけど、感情が無理なんだ。でもなぁ……多分理解してはもらえない?いや、そんなことは無いだろう。僕が城を出る為に父様に会いに行ったとき飛び込んできた母様は僕を守るために父様に離縁してくれと泣いていた。だから子供が自分の元から離れる寂しさと不安は理解しているとは思う。……やっぱり僕が悪い?

 黙りこんでしまった僕の頭に母様の手が延びてきて撫でてくれる。……ハァ。良い方法無いかな?
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