Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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考え方は千差万別

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 イエイガ-老が開いた集会にはノエル様に伝える為に自分も呼ばれた。この集会、集会というのは間違いだと感じるが老ご本人が『ちょっとした集会じゃ。』と言ったので一応、集会ということにしておく。お集まりの方々の中には王様の相談役とも云われる元老院からも数名おいでだ。その他には領地は持たないまでも王都在住の貴族、大臣の側近や各領主と王都との連絡役の人々等『ちょっとした』ではすまない方々ばかりだ。

「さて、本日お集まりいただいたのはこの国の将来について由々しき事態になったからじゃ。」

 貴族らしい挨拶や前置きをすっ飛ばしていきなり入った本題に辺りはざわついた。そして“この国の将来について由々しき事態”という言葉に反応が強い。唯でさえ深刻な言葉なのに今はあの噂がある。国王が噂に対して不愉快を示してからは皆言わなくなったがあの噂は忘れられる事なく常に頭の片隅にあったからだ。
 貴族というものは大半が“長いものに巻かれる”主義であるため自分の将来の立場を確立するためにも誰の下でどう動くか重要となるので、下手をすると今までの事が無駄に終わる事となるあの噂は忘れたくても忘れられないのだ。
 貴族達のざわつきが収まった頃を見て老は言葉を進めた。

「……そう、方々が予想されているようにあの噂に関してじゃ。国王様は大変不快に思われた…そしてもう1人の噂の本人もじゃ。」

 またしてもざわつきが起こる。もう1人の噂の本人とは我が主のノエル様に他ならない。それは当たり前のように知られている。だが噂をしていた人々はノエル様を全く理解していなかった。そしてここにいる方々も殆どがノエル様を理解していない。

「最近ノエ……スサエナ殿は酷く気分を害されてな……あの愛し子にはじじいは弱いのじゃ。」

 ……食えないご老人だ。自分はノエル様と親しいと名前の呼び方を直す事で印象付け、ノエル様を“愛し子”と呼ぶ事でノエル様から信頼されていると告げる。そして普通のじじ様と孫のような間柄かのように自分を“じじい”と呼び、孫が可愛くて可愛くて仕方ない只の老人かのような言葉。
 この言葉の裏には『王夫妻から溺愛され、国の重鎮たる自分も溺愛するスサエナの領主はある意味無敵だぞ』というなんとも恐ろしい意味が隠れてる。
 当然、貴族ばかりのこの場は静まりかえった。

「ノエル君はそれはそれは弟を可愛がっておってなぁ……やはり母親になるとその愛情も更に深まるのか、気落ちする弟を気にしておる。」

 それにしても器用なご老人だ。もはや1人言を言っている様に話すのに集まった人々は真剣にその1人言を聞いている。

「……いったい誰が言ってしまったのやら……スサエナ殿はあの噂を耳にしたらしい。ショックが強かったのだろう、出産が早まり生死の境を行き来されたようだ。……ああ、ご安心されよ、もう持ち直されて新しい生命を腕に抱かれておられる。」

 はい、出ました!新しい脅し。『難産になったのはお前らのせいだ』……もしかしてイエイガ-老も静かに怒っておられる?
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