265 / 685
もう1回、お話しましょ。
しおりを挟む
・ローランド視点
部屋に入って来るなり『僕はお兄様なんだからねっ!!』って言うと私の腕を掴み、窓辺の寝椅子へ引っ張って行き、私を座らせると自分もちょっと離れて座り私の頭を引き寄せた。いわゆる膝枕をしている体制……どういう事だろう?というかこの体制はダメだろう。兄弟とはいえ私はαだから義兄にしてみれば面白くない筈だ。
起き上がろうとすると、私の額を押さえ込み真上から除き混んでくる。…顔が近い!兄上、自分の事を知って下さい!
「……ローランドは…僕を疎んでる?」
表情を抑えていられてると思っているらしく、無表情に近い寂しそうな顔だ。
…色々と知られたようだけど、誤解もありそうだ。
「何を知ったのですか?私は兄上を疎んではいませんよ。」
「……僕はキミのお兄様なんだからね?お兄様は弟のお手本にならんないといけないんだからね?」
……王都で伝え聞いた噂が兄上の耳にも入ったのはこの様子から間違い無いだろう。あの噂を聞いた時どう思ったのだろうか。
兄上の言葉は時々要領を得ない。自分では合った会話と思っているらしいが発想が斜め上をいくので考えが読めない。今回のはどういう意味だろう…王族として残っていられるとはいえ、兄なのに王位継承権を奪われたのだから不満に思わなかった筈はない。という事は“兄なのだから”という言葉はあの噂を兄上は是としており、私の心の中のモヤモヤを責めているのだろうか?でもそのわりには“お手本に~”の意味がわからない。
「わかってる?僕はお兄ちゃんなんだから弟の為にはなんだってするからね。」
優しい目が私を上から覗き込んで笑う。……そうだ、この兄は私の為に…ん?
先刻とは違う機嫌の上昇が見られる。なぜ?私は兄の親友を犯したのに?兄には心のモヤモヤを宥めてくれたトータに我慢が効かなくて襲った事は見透かされているだろう。それなのになぜ?
わからなすぎてとうとう兄に尋ねてみた。
「さっきトータに会って話を聞いたの。トータはローランドとの行為は嫌じゃなかったけど場所とか嫌だったみたいだよ。トータ本人が良いと言ったんだからその事はそれ以上は言わない。でもね、お兄様の言いつけを破った事は後でちゃんと怒るからね?でも今はとりあえず手紙を出したから、それの返事待ち。それから母様が来てるからローランドは母様にたっぷり叱られなさい。」
え?色々と気になる発言だらけのうえ母上が?
実を言えば私は母上が一番怖い。優勢αであり母親でもあるあの人はα側の立場も、女性側の立場も知っているという事で……、「まさに“自分で撒いた種”だね~、“種”のせいで叱られておいで~」と笑う兄上の言う通りだけど、全力で逃げ切りたい。逃げ切れる事は無いのだけど…。
・ある兵士談
ノエル様が王都のイエイガー老に宛てて手紙を書いたと持って来られた。それはそれは王妃様に似た良い笑顔だった。イエイガー老のお屋敷に届け、お答えをいただいて来るのだが、あの笑顔が空恐ろしい。……気のせいだと思いたい。
部屋に入って来るなり『僕はお兄様なんだからねっ!!』って言うと私の腕を掴み、窓辺の寝椅子へ引っ張って行き、私を座らせると自分もちょっと離れて座り私の頭を引き寄せた。いわゆる膝枕をしている体制……どういう事だろう?というかこの体制はダメだろう。兄弟とはいえ私はαだから義兄にしてみれば面白くない筈だ。
起き上がろうとすると、私の額を押さえ込み真上から除き混んでくる。…顔が近い!兄上、自分の事を知って下さい!
「……ローランドは…僕を疎んでる?」
表情を抑えていられてると思っているらしく、無表情に近い寂しそうな顔だ。
…色々と知られたようだけど、誤解もありそうだ。
「何を知ったのですか?私は兄上を疎んではいませんよ。」
「……僕はキミのお兄様なんだからね?お兄様は弟のお手本にならんないといけないんだからね?」
……王都で伝え聞いた噂が兄上の耳にも入ったのはこの様子から間違い無いだろう。あの噂を聞いた時どう思ったのだろうか。
兄上の言葉は時々要領を得ない。自分では合った会話と思っているらしいが発想が斜め上をいくので考えが読めない。今回のはどういう意味だろう…王族として残っていられるとはいえ、兄なのに王位継承権を奪われたのだから不満に思わなかった筈はない。という事は“兄なのだから”という言葉はあの噂を兄上は是としており、私の心の中のモヤモヤを責めているのだろうか?でもそのわりには“お手本に~”の意味がわからない。
「わかってる?僕はお兄ちゃんなんだから弟の為にはなんだってするからね。」
優しい目が私を上から覗き込んで笑う。……そうだ、この兄は私の為に…ん?
先刻とは違う機嫌の上昇が見られる。なぜ?私は兄の親友を犯したのに?兄には心のモヤモヤを宥めてくれたトータに我慢が効かなくて襲った事は見透かされているだろう。それなのになぜ?
わからなすぎてとうとう兄に尋ねてみた。
「さっきトータに会って話を聞いたの。トータはローランドとの行為は嫌じゃなかったけど場所とか嫌だったみたいだよ。トータ本人が良いと言ったんだからその事はそれ以上は言わない。でもね、お兄様の言いつけを破った事は後でちゃんと怒るからね?でも今はとりあえず手紙を出したから、それの返事待ち。それから母様が来てるからローランドは母様にたっぷり叱られなさい。」
え?色々と気になる発言だらけのうえ母上が?
実を言えば私は母上が一番怖い。優勢αであり母親でもあるあの人はα側の立場も、女性側の立場も知っているという事で……、「まさに“自分で撒いた種”だね~、“種”のせいで叱られておいで~」と笑う兄上の言う通りだけど、全力で逃げ切りたい。逃げ切れる事は無いのだけど…。
・ある兵士談
ノエル様が王都のイエイガー老に宛てて手紙を書いたと持って来られた。それはそれは王妃様に似た良い笑顔だった。イエイガー老のお屋敷に届け、お答えをいただいて来るのだが、あの笑顔が空恐ろしい。……気のせいだと思いたい。
34
お気に入りに追加
2,664
あなたにおすすめの小説
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ユウ
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています
ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた
魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。
そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。
だがその騎士にも秘密があった―――。
その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる