Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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シモン君ったら……。

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 貴族の目が一斉に僕に集まる。今まさに舞踏会の会場に入場した僕は僕のシナリオから大きく離れた目立ち方をしていた。
 あくまでも僕はソッと入場してソッと立ち去る予定だったんだ……それが……何故こうなった!

 「まぁ、ノエル緊張しているの?こんな大きな集まりは成人の時以来だから久し振りだものね?」

 母様は凄く嬉しそうだね!そうだろうよ…孫シモンを腕に抱いて僕を横に引き連れ離さない。シモンはというと母様のキラキラドレスがお気に入り。皺になるのも構わずしっかりと握る小さな手を嬉しそうに見る。母様を見た瞬間から母様に抱っこされたいのだと暴れ出したシモンを僕は抑える力が無く、母様も腕を出しちゃったから渡すしかなかった。
 そして入場の前からずーっとキャァキャァ喜ぶ声を上げてご機嫌Maxの我が子…。予想以上に疲れそうだ。

 その後も、デジレ様にシモンを抱っこしてもらうはずの計画も大きくずれてデジレ様は提督がしっかりと側に置いている。さり気なく腰に手を置きエスコートする姿は様になっており仲の良さを見せつける。
 デジレ様に抱っこしてもらおうとシモンを渡した時はシモンの大抗議にあい大変だった。王族の席についてゆったりと孫シモンを抱くデジレ様の姿を想像していたけど実際は母様のドレスから引き離されたものの母親の腕の中ということで我慢していたシモンは、見知らずの美丈夫な男性αに抱かれた瞬間、この世の終わりが来たような顔を見せた後は顔を真っ赤にしてボロボロ涙を流し、嫌だと体をくねらせ、腕を振り回し、足をばた付かせた。

 あまりの拒否のギャン泣きに音楽家の音も止まり注目の的になった。このままでは “不憫なじーじ”になって終わってしまうと焦るも、シモンの拒否は止まらず母様と僕であやしてなんとか収まった。
 ……シモン、もう無理に渡そうとしないから僕の髪の毛を握り締めるのやめて~痛いよ~。

 ほーら綺麗な布いっぱいだよ~と会場の中を歩き回ると、主に女性の貴族に囲まれた。キラキラした小物やドレスでシモンが喜ぶのを知るとハンカチを振ってみたり扇で風を送ってくれたりとすごいチヤホヤされてようやくご機嫌が治ったシモンはもう下がらせよう。僕もついでに下がって一休みしたい。

 無理でしょう!って?……うん…僕はダメだった。さっき僕とシモンを囲んでいた女性達が母様のそばに侍り楽しそうにしている。

「ああノエル、今あなたのお話をしていたのよ。」

 すこぶる上機嫌の母様はどうやら “可愛い孫” 
“賢そうな子” “スチュワート様に似て愛らしい”
“今度は気球の発明をした” “クルーズは素晴らしい時間だった” などの話で盛り上がっていたらしい。……あ~、ここまでご機嫌だと暴走の予感が……。

「ノエル、まだ誰にも言ってない発明や思いつきがあるのでしょう?ちょっとで良いのよ!母様に話してちょうだい?!」

 …………ここで?こんな人がいっぱいの所で?
あ、……周りが…静かになった……これ、ダメなやつだよね?
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