Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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 ガッタン。止まった音で目が覚めた。この汽車はグリフウッドまで止まらずに走るはずだ。もうついた?いやいや……そんなはず無いよね。じゃぁ……
やっぱり邪魔が入ったか。爺も目を覚まして僕に『静かに』と注意してくる。うん、と頷いてシモンを見るとよく眠ってるので大丈夫。そっと爺が動いて出て行ったのでベッドに転がって帰りを待とう。


「ノエル様、お目覚め下さい。朝ですよ!」

……何にもない平和な朝で汽車はゆっくり走っているようだ。アレ?夢だった?

「いいえ、夢ではございませんよ。本当にノエル様は豪胆ですよ。私が戻ってみればノエル様はシモン様と同じ格好で寝てるんですから。」

 ……アハハハハ。ごめんなさい。
呆れながらも僕を着替えさせて、小部屋から出る。朝からご機嫌のシモンを受け取り母様に挨拶に行った。

「おはようノエル。誰に似たのか……あの状況で眠れるなんて、ハァ……。」

 お疲れのようだ。こういう所は父様かな?まぁ僕の事は置いといて、とりあえず何があったのか教えて下さい。

 母様の話によると、皆が寝静まったくらいに汽車を止める者があった。外からではなく、内部から。でも何かあると見越していたので予め用意されていた作戦で犯人は難なく御用となり、すぐに発車したらしい。

 この汽車、突然僕達が乗ったけど最初から侍女さん達をグリフウッドに運ぶために運行準備されていたものだから乗車メンバーはわかっていた。それに向こうに連れて行くくらいだから信用のある人達で固められてるのは当然なのに、誰も知らない侍女がいるなんて変すぎるでしょ。だから何かやらかすとわかった上で泳がせてみた。

 なんとなく犯人の正体はアポリンヌの近しい人だろうとは思っていたけど、妹だって。そしてこの妹からさすがに予測していなかった事が話された。

「よくも私にこんな真似を!!私は高貴な者よ!この手を離しなさい!私はオルソン様の愛人よ!」

 隣の客室からヒステリックな声がする。
 ……ん?!オルソン?どっかで聞いた……ああ!スサエナの前領主の名だ。って…ちょっと待って~、もしかしてアポリンヌ・オルソン・サムスプリング元領主…3馬鹿が揃ってるとか無いよね?ね?
 いや、ありそうだ。

「では、その高貴な方が何故ここで捕まっているのですか?私達は常にペアをくみ2ペア…4人1組で動いているのです。私達は貴女を存じ上げません。侍女だというのは通用しませんよ。」

 母様の筆頭侍女が問いただしているらしい。母様はまだ侍女姿だし、僕も侍女見習い姿……シモンは預けて見に行こう。
 
「私もグリフウッドに行きたかったのよ!この汽車が行くというから乗っただけよ!」

「ではその侍女服はどういう事ですか!?」

「着替えが無かったので借りたのよ。」

「着替えは皆、個人で管理しています。人の荷物を漁ったのですか!」

「人聞きの悪いこと言わないでちょうだい。借りたと言ったでしょう?」

 ああ……めんどくさいタイプの人だ。
横を見ると母様も遠くを見る目になっていた。
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