Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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不審者

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 無事に皆さんをクルージングに送り出し僕は母様と久し振りにゆっくり出来る事になった。なぜかって、僕の今日の変装はなんと女装だったから!シモンも預けてきてるしこの格好なら誰にもバレない。最初、爺も騙せたんだよ。勿論母様も。

「お迎えにあがりました。」

 そう僕が高めの声で言ったとき母様は全く気づかず「迎えにはノエルが来るのではなかった?何かあったの?!」とすごく心配していた。仕方なくこっそりと「母様、僕。」と普通の声で告げると満面の笑みを浮かべて僕をローズマリーと呼んだ。つまり僕はこの姿の間はローズマリーという名前なんですね?因みに母様も変装していて貴族の侍女っぽい。僕も侍女見習いの格好なのでバランス良いね~。

「せっかくだからお屋敷に行く前にママとお茶しましょう!」

 という流れでお茶しに駅に併設したティールームへ。その後市場で布を見たりお菓子を買ったりしていた。

「おい、聞いたか?さっき見回りの兵士が走り回ってたぞ?」
「ああ、なんだか怪しい奴が居たらしいな。」
「なんだと!?また俺達の領主様を狙ったのか?」
「それはわかんねぇけど、注意すっぞ。」

 「そうだな」と言い合う男達の側に母様と僕がいて、ちょっと照れる。母様は思いもかけない男達の言葉に驚いたらしいがすぐに誇らしげな表情になった。コレ、館についたとたん抱きしめて頬擦りされるパターン。

 この男達の会話の裏には爺の作戦があった。爺は僕と領を守るためには領民の助けがいると言い、僕が危険という情報をあえて流したあと領民に自警団の募集をかけて僕と領が狙われていると話した。自警団の役割は怪しい人を見つけたら兵士に知らせるとか新しくこの街に入ってきた人に声をかけて必要なら就職斡旋場に案内してもらう事。
 協力は欲しいけれどあまり危険な事に近づいて欲しくはないのでこうなった。

 ちょっと前まで仕事にあぶれた人や行き倒れ寸前の人が大勢いたこの街は今や活気に満ち溢れ、流れてきた人を気遣う余裕すら生まれていた。領民の皆もこれに満足してくれたらしく、今の生活状況を壊しかねない僕の身の安全には気を使ってくれる。大変に有り難いことだ。

 母様がチラリと目を向けると密かに護衛している1人が行動した。情報を仕入れてきてくれるのだ。その間、安全が確保しやすいようにさり気なく兵士の詰め所そばで護衛に囲まれて待機。

「すぐにお館にお帰り下さい。馬車を手配致しましたのでこちらに……。」

 母様の侍女が数人母様と同じ格好で来てくれた。侍女仲間でのお買い物として市場を出る。道中で報告を聞くと、怪しい男はサムスプリング出身であちらの領で仕事を請け負いスサエナに来たらしい。仕事内容は“スサエナで小麦が足りないらしいから届けてくれ”というものだった。しかし、来てみたら小麦どころか足りない物は無い様に見える。しかも自分が持ってきた品よりもずっと良い物で、噂ではスサエナはサムスプリングから迷惑を被っていると聞いて自分の行動も嫌がらせで、自分はそうと知らず仕事として受けてしまったとどうするべきか悩んでいたらしい。
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