Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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お久しぶりですね~。

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 王都から召喚!……思わず言っちゃいそうになる。
ゴーゴン商会のレナードさん。やっと来てもらえたんだけど、ちょっと後ろめたさもあるのでドキドキしている。だって僕は“落ちぶれた下級貴族の子供”として店をレナードさんから借りていたんだから。

 今日は王族の領主として会わなければならないのでかなりオシャレしてる。クリーム色のスーツは上着の裾が長く膝上までありスリットが入っている。タイはシャツと同じ色の焦げ茶でリボンタイだ。手首のあたりに小さなレースもついている。頭にはクリームのベレー帽みたいな帽子にやっぱり焦げ茶のリボンが長く垂れている。
 可愛いスーツについ調子に乗ってベビーベッドに寝てるシモンに「どう?似合う?」なんて事はしません。だって長いリボンをギュゥーって引っ張られて帽子と頭を留めるためのピンが引っ張られて“イタタタタ”ってなるもの。

 ……すぐ僕の後ろでそうなったトータを見たもの。

 めったに使わない…というか使った事が無い“謁見室”を初めて使う。今回は僕が招待状を出して来てもらったのでこの部屋を使う。家具の配置はお城の父様がいる謁見室みたいなんだけど、僕のこの部屋は薄いピンクとグレーで纏められた凄く可愛い部屋だった。…ちょっと可愛いすぎじゃない?

 部屋の中央、二段くらい高い位置に僕の座ってる椅子があって左手にはシモンのベビーベッドがある。その更に左後ろにはトータが僕と似たようなスーツ姿で座ってる。僕の右側はいつも通り爺がいてその後ろに侍女さんが1人控えてる。
……さっき、到着して着替えてると報告があったのでもうすぐだろうな。


 コンコンとノックがあり侍従に案内されたレナードさんが頭を下げたまま入ってきた。王族の顔を間近で直に見るのは禁止されているためだ。悪意が無いことを示すため中腰で入り、僕のいる場所とドアの中間くらいで頭を下げたまま両膝をついた。

「ご召還により参りました、王都でゴーゴン商会を営んでおりますレナードと申します。」

 爺が僕の前に来たレナードさんの紹介をすると、
もう一つ深く頭を下げてから挨拶が始まった。

「初めてご尊顔を拝します私はレナードと申します。王都の中心街で代々続く商会の会長をさせて戴いております。シュチュアート殿下のお噂はかねがね拝聴させて戴いており、願えるのならばいつかお会いしてみたいと思っておりました。」

 おそらくはこの先も続く筈の言葉を遮って僕が口を挟んだ。

「お久しぶりです。レナード。顔を上げて私を見てください。」

 ちょっとの間を置いて恐る恐る顔を上げたレナードが目を見開く。たっぷり考える間をとると、爺を見て、僕をみる。……考えてる考えてる。

「レナード、間違いないと思いますよ?」

 僕の声にレナードは「ぅぎゃぁう……」って声を漏らしたきり固まってしまった。
そうそう、こんな感じになるのが普通なんだ。色々とあって僕の周りは騒がしいけど、本来王族は孤高の存在……のハズ…なんだよね?
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