Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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僕は猫か鼠かどっちだ?4

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 ……侍女さん達に叱られる!爺に怒涛のエステされる!アーノルドに涙目で悲しまれる!

 ヤバいヤバいと青くなっている僕に違う兵士が近づいて来てもう一度僕達を見る。

「ああ……ありえんな。」

 薄汚れて見るに耐えないと顔をしかめられるとさすがに“そんなに汚れているかな?”と不満に思う。袖で顔をゴシゴシ擦っていると集まった兵士達が「いくら顔を擦っても汚れは取れんさ。見ろよ、俺達に取り入ろうと綺麗にしようとしてるぞ!」と僕を指差して笑ったあと、御者さんに「もう行け」と命令した。
 荷馬車に乗った僕達が横を通り過ぎた時兵士達はわざと「あ~臭い臭い!小汚いΩの臭いが鼻について困るよなぁ~」と言って3人で笑ってた。
 ……腹立つな!

 暫く走ると見覚えのある門が見えてきた。ホッと一息入れた途端、この後の事を考えていなかったと気づいた。おじさんはともかくトータを見捨てる事は絶対に出来ない。僕は一刻も早く館に戻りたい……じゃぁ、トータを連れて行けばいい?うん、そうだね。隣りを見ればトータもホッとした様子で…でも幾分緊張してる?まぁ知らない場所だからね。

 近づく見慣れた風景に初めてこの街にきた時を思い出す。あの頃思い描いた理想の街に今も近づいている。まだまだやりたい事がいっぱいで困るけど、もっと頑張らなきゃ!と感慨深い思いでいると門のすぐ側まできた。
……あれ?ちょっと様子が違う?

 兵士が集合している……ああ、あれはこの街の人達を訓練して兵士として雇った部隊だ。けっこう独特の人達で『ノエル親衛隊』という別名もあるんだよね。その部隊を横目に馬車は門をくぐった。この門の中でどういう人間が街に入るかというチェックがあるので中は広い……筈なのに今日は兵士がいるからそんなに広さを感じない。

「点呼は終わりましたか!?通行の邪魔にならないように端によけてください!」

 爺だ!もう結構な歳なのに勇ましく馬に乗っている……待って待って!!
 思わず馬車の荷台の上に立ち上がって「爺!!」と叫んだ。

 一瞬にして爺が焦って周りを見渡し、少し離れたところにいた僕を見つけると馬を降りて走り寄って来てくれた。

「ノエル様!!」

 あぁ、もう大丈夫。……そう思った途端に涙が溢れてきて人前なのに思いっきり泣いてしまった。

「ノエル様、ご無事で!!ああ……本当にノエル様ですね。」

 怪我はないかと聞かれ顔をのぞき込まれて、爺の顔が悲しそうに歪んだ。うん、ごめんなさい。キズだらけで荒れ放題です。でも、ほらシモンはキズ一つないよ!スリングの中からシモンを覗かせて威張ると爺が涙ぐんでいた。
 …心配かけてごめんね。

「さぁノエル様、早く手当をしなくては。」と僕をシモンごと抱き上げると馬車の御者さんを労う。周りの兵士達はよってきて僕の無事を喜んでいてくれてる……なるほど、この兵士達は僕の捜索隊だった訳ね。心配かけてごめんね、大丈夫だよ、ありがとうと爺の馬の上から皆にお礼を言う。今度ちゃんとお礼言うね、シモンの御披露目もするねと皆に約束してると爺が「行きますよ」と後ろに乗った。

 爺が馬を歩かせる直前に兵士のリーダーらしい人に馬車の御者さんとトータを館に案内するようにお願いした。
 ……トータ、ごめん。びっくりの連続だよね。
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