Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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僕は猫か鼠かどっちだ?2

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 ……よし、きれいになった。ロバも休憩出来たみたいで良かった。
…さて、あっちの道を真っ直ぐ行けばスサエナか。

「ねぇ…キミ、あっちに行くの?」

 唐突にさっきのΩの子が話しかけてきた。どう答えようかと迷っていると「あっちにはΩを助けてくれる街があるって聞いてる。」と少し思い詰めたように言う。

「キミは行きたいんだね?」

 確信を持って聞くと、「チャンスは限られてる」と呟いた。

「この家畜用の草も、木の実もあっちの街の方が高く買い取ってくれるだろうね。……道は歩きやすそうだし、この子の為にも僕は行くよ。」

 シモンを揺すって、この子だよと見せる。王都でΩがこれらを売ろうとすると足元を見られて買いたたかれる事がある。最悪、半値くらいまで下げられてしまうのだ。

「ボクも言って良い?」

 どこかほっとけない気がして「いいよ」と一緒に行動する事にした。
 打算だけど、1人より2人の方が僕にとっても都合が良いんだ。もし追っ手がいるとしたら逃げ出したΩは子供と2人連れだと思われてるはず。ならΩ2人、子供2人の4人にロバ付となれば全く変わって見える筈だ。

 とりあえず自己紹介から始まった。

「ボクはトータと呼ばれてます。皮細工通りの元締めのΩです。この子の父親には番と認められてないです。この子はΩだから……。」

 王都も父様達が一生懸命変えてくれてるけどやっぱりまだまだ変わらないらしい。それでもこのトータは街で自分を売らなくてすんでるのでまだ良い方だろう。でも、元締め管理下ということはほぼ奴隷と大差無い。しかも元締め以外が子供の父親ということは差し出されたという事だろう。…で、子供がΩだったから用は無いと……。
 心が重くなりながら自分の事も話す。まさかすべて正直に言うわけにもいかず、“城の秘密のΩ。子供共々命を狙われたので逃げてきた”と話した。自分の名前はエルと名乗った。追っ手は“シュチュアート”もしくは“ノエル”の名を探している筈だから危険はあるけど呼ばれても気づかないという不自然さよりはマシなはずだ。

「トータは戻りが遅いと怒られない?」

「……たぶん大丈夫。一応、子供産んだら5日間は休んで良いと言われてるから……今日は4日目。」

……それ、ダメなやつ!!絶対にダメなやつ!!まだ安静にしてなきゃいけない時期なのに!僕も人のこと言えないけど、ここにもっとダメなのいた!!
 予定変更ーーーー!!

 ……という訳で、今荷馬車の後ろに乗せてもらってます。あれから工事用の荷馬車のおじさんに「僕たち王都からスサエナ領に行きたいんです。王都じゃこの子達を抱えて暮らしていくのは厳しくて…シクシクシク(涙)」とやったら「可哀想にな~…」となって乗せてもらえました!

 ……嘘は言ってないよ。
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