149 / 685
心穏やかにしたいのに…。
しおりを挟む
やっと交渉が終わった!デジレ様はのらりくらりと此方の提示した価格の返答をさけた。いっそのこと全てお金で買い取りしてもらおうかとも思ったけど、これだけの量の取引ではお金と合わせて素材や宝石類など物品で取引されるのが普通という事だから仕方ないか。
でも最後は「産まれる子供への祝だ」と言ってヤエカマドという木材をつけてくれた。ヤエカマドはナナカマドという木の改良種で燃えにくい性質を持った高木樹だ。ある地域にしか育たないこの木はその性質から最高の建築素材といわれている。
やはり産むのが僕でも自分の孫には違いないからねぇ…楽しみなのかな??
そんなこんなでやっと大きな事が1つ片付いたけどもう1つ面倒な事が残っている。
ほら、誘拐の犯人の親友??っていうサムスプリグ領の元領主。いや、【元】ではないか……なんかサムスプリグ領の現領主が元サムスプリグ領主とその友人の管理ができていなかったと領主の地位を返還してきたと聞いた。
「めんどくさい」
まだグリフウッドのアーノルドの館で紅茶を飲みつつ王都からの手紙を読んでいる。正直な気持ちを言ったまでだったんだけど、爺をはじめて周りの人達までも“そうでしょうね”という表情で僕を見ていた。
ついさっきデジレ様を送り出して「さぁのんびりしようかなぁ~」なんて言ってたら届いたのだ。
「タイミング良すぎだよ~、誰か僕のこと見張ってて『次のお仕事の指令』出してるんじゃないの?!」
「お気持ちはわかりますがノエル様、体を起こして下さい。お腹に負担がかかりますよ。」
グズグズとテーブルに突っ伏して愚痴を言ってたら爺に注意された。いけないいけない…気をつけないと。
「お手紙の内容をお聞きしても宜しいですか?」
爺の質問に答える為もう一度手紙を見る。溜め息満載の内容だけどこの手紙を書いた人も溜め息満載だったと思うよ。
「元サムスプリグ領主 ペドロ・サムスプリグよりの訴え……スサエナ領主……僕のことだね。スサエナ領主は拉致事件を捏造し怨みを持つサムスプリグ領の貴族を陥れる事で元サムスプリグ領主に怨みを晴らそうとした。またΩである自身の身体的特徴でαを落とそうとしたが貴族等が靡かなかった為、自身の領民に暴力を奮わせた。
これらはサムスプリグ領の貴族を誘拐するなどの複数の犯罪が関与すると思われるため全国民が承知するよう大法廷に訴える。……という訴えがなぜか貴族議会に出されたんだって。」
あ、爺が何でもないように笑ってるけど目が遠くを見ている。うん、そうだよね……また訳の分からない理屈?いや、今回のはもう思い込みで事件が全く逆になっちゃってるよ。僕が拉致されたのに逆に拉致した事になってる!
ははは……もう笑ちゃうよ。
「この王都からのお手紙はどなた様からだったのですか?」
「うん…貴族議会のまとめ役をされてるイエイガー老が笑い死にしそうな程大笑いされてるらしい。イエイガー老の側近の方がお手紙下さってるけど、イエイガー老が『面白いから教えてやれ』と………。」
イエイガー老、話にしか聞いたこと無かったけど相当の変わり者らしい。
でも最後は「産まれる子供への祝だ」と言ってヤエカマドという木材をつけてくれた。ヤエカマドはナナカマドという木の改良種で燃えにくい性質を持った高木樹だ。ある地域にしか育たないこの木はその性質から最高の建築素材といわれている。
やはり産むのが僕でも自分の孫には違いないからねぇ…楽しみなのかな??
そんなこんなでやっと大きな事が1つ片付いたけどもう1つ面倒な事が残っている。
ほら、誘拐の犯人の親友??っていうサムスプリグ領の元領主。いや、【元】ではないか……なんかサムスプリグ領の現領主が元サムスプリグ領主とその友人の管理ができていなかったと領主の地位を返還してきたと聞いた。
「めんどくさい」
まだグリフウッドのアーノルドの館で紅茶を飲みつつ王都からの手紙を読んでいる。正直な気持ちを言ったまでだったんだけど、爺をはじめて周りの人達までも“そうでしょうね”という表情で僕を見ていた。
ついさっきデジレ様を送り出して「さぁのんびりしようかなぁ~」なんて言ってたら届いたのだ。
「タイミング良すぎだよ~、誰か僕のこと見張ってて『次のお仕事の指令』出してるんじゃないの?!」
「お気持ちはわかりますがノエル様、体を起こして下さい。お腹に負担がかかりますよ。」
グズグズとテーブルに突っ伏して愚痴を言ってたら爺に注意された。いけないいけない…気をつけないと。
「お手紙の内容をお聞きしても宜しいですか?」
爺の質問に答える為もう一度手紙を見る。溜め息満載の内容だけどこの手紙を書いた人も溜め息満載だったと思うよ。
「元サムスプリグ領主 ペドロ・サムスプリグよりの訴え……スサエナ領主……僕のことだね。スサエナ領主は拉致事件を捏造し怨みを持つサムスプリグ領の貴族を陥れる事で元サムスプリグ領主に怨みを晴らそうとした。またΩである自身の身体的特徴でαを落とそうとしたが貴族等が靡かなかった為、自身の領民に暴力を奮わせた。
これらはサムスプリグ領の貴族を誘拐するなどの複数の犯罪が関与すると思われるため全国民が承知するよう大法廷に訴える。……という訴えがなぜか貴族議会に出されたんだって。」
あ、爺が何でもないように笑ってるけど目が遠くを見ている。うん、そうだよね……また訳の分からない理屈?いや、今回のはもう思い込みで事件が全く逆になっちゃってるよ。僕が拉致されたのに逆に拉致した事になってる!
ははは……もう笑ちゃうよ。
「この王都からのお手紙はどなた様からだったのですか?」
「うん…貴族議会のまとめ役をされてるイエイガー老が笑い死にしそうな程大笑いされてるらしい。イエイガー老の側近の方がお手紙下さってるけど、イエイガー老が『面白いから教えてやれ』と………。」
イエイガー老、話にしか聞いたこと無かったけど相当の変わり者らしい。
44
お気に入りに追加
2,676
あなたにおすすめの小説

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる