Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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デジレ様、こんにちは

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 あの誘拐事件から半年、今僕の周りは超警戒態勢がとられてます。理由は3つある。
 1つ目、明日お仕事である人物にお会いするんだけど……良い感情は持たれていない人。
 2つ目、現在妊娠中なんだけど僕の体が小さい為非常にバランスが悪い。
 3つ目、誘拐犯の親友?の元サムスプリング領主が難癖をつけてきた。

 周りの護衛の兵士さん、いつもの侍女さん合わせると必ず5人は側にいる。アーノルドや爺が居ても居なくても常に居るんだ。流石に巣の中までは入って来ないけどね~。
 え?邪魔じゃないかって?そうでもないよ。それこそ今の僕は階段とかがお腹で足元が見えず危ないから助かってる。



「おはようございまーす。」

 今日はアーノルドが居ないので侍女さんに手を引いてもらいサロンに入った。とても天気が良く爽やかな風が心地よかったので朝食は外で食べたかったからだ。

 それにね、僕は今スサエナではなくアーノルドの領、グリフウッドに来ているんだ!
  遊びに来てるんじゃなくて、お仕事だよ?誰か人を遣ってじゃダメなのかって言われたけど、この仕事は僕じゃないと無理だと思う。長距離の移動を皆は心配してくれているけど馬車ではなく、汽車で移動する事で何とかなった。

 汽車はまだ客車として走っては無いけどアーノルドが行き来するのに便利だからアーノルドが乗る特別車両は出来てるんだ。それに揺れも馬車より無いし、ゆったりと安全に行けるだろうとアーノルドが言ってくれたので何とか許可が出た。
 
 ……誰の許可って、父様母様だよ。安全を確かめるためローランドが試し乗りすると言ったときは皇太子が一領主の移動の為の乗り物を試し乗りっておかしいだろうと説得したけど結局は無駄だった。

「おはようございますノエル様。本日は大事なお仕事でございましょう、沢山召し上がって下さい。」

「ありがとう爺。アーノルドはもう着いたかな?」

 アーノルドは今日僕が会う予定の人を向かえに行ってもらっている。天気は良く海からの潮風が心地良い。
 テーブルの上の食事は交易の街らしく他国の特産品の食べ物がいっぱいだ。特にフルーツは多く目移りしそう!

 爺に先にデザートのフルーツを決めも良いと言われたので嬉しくなってしまう。でもこのフルーツを食べるために食事はしっかりとらされるんだよ。

 お腹いっぱいになった後は日課のお散歩。じっとしてろと言われるけど、体力落とす訳にもいかないし歩いていた方がお産が楽とも言うからなるべく長く歩いてます。
 アーノルドが僕のために散歩の楽しみとして兎を飼ってくれたので兎小屋まで行く。過保護な事に兎小屋までの道は平らで小石一つ落ちてないように朝夕掃除されている。歩きやすい土の道はレンガでは転んだとき痛いし危ない、芝生では足元が危ないと色々考えてくれた結果水はけの良い土で道を作ってくれたらしい。

 兎小屋までの道を歩きながらもう少しで再会する人物を思う。
 なんと言おう……夫人なんて口が裂けでもって言えない。『ご機嫌よう、お義父様』?


 ……だけど、兎小屋の前で会っちゃった。
そして『こんにちは、デジレ様。』って、つい言っちゃったんだ。
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