Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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ローランド

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 区長の家の前に馬車がつき、皆に見送られながら館へ戻ってきた。
 馬車の中では常にアーノルドの膝の上。爺は僕を探しに来ていた兵たちを引き連れて帰るためまだ町にいる。……というのは爺の言葉。でも僕はそれも爺の優しさだと知っている。
 だって、爺も一緒の馬車に乗って帰るとなればこうやってアーノルドに甘やかしてもらいながらの、ちょっとしたイチャイチャはできないからね。

 

 …………フワフワした感じ…。あれ?僕、寝てた。
まだうつらうつらとして覚醒には遠い、寝ぼけてる状態のノエルの耳に聞こえてきたのは館の皆の声だ。皆、声を小さくしてるけど明るい。

「兄上、無事で良かった!」

「ローランド様、お静かに…。気丈にしてはいましたが馬車に乗った途端に眠ってしまいました。目が覚めれば今日の事でどうのような行動になるかわかりません。どう行動してもフォローできるようにしておかねば……。」

「ああ、義兄の仰る通りかと…。では、兄上をお部屋へ寝かせられたら一度此方に来ていただきたいが宜しいか?」

「ええ、爺が戻りましたなら……。1人にしてはもし目が覚めた時、可哀想なので。」

「わかりました、それで結構です。ああ、それと…犯人は全員捉えましたから。」

 ……良かった……全員、捕まったんだ。
僕は本当に安心して……眠りました。ゴメンナサイ。
だって疲れたし、アーノルドの腕の中は気持ちいいし……どうせ起きたら大変な量の書類や報告書が待ってる。被害者…自分 裁断者…自分 裁定者…自分
これってないよね?なんて思いながら眠りについた。


 さて、今回の事件ではある意味ローランドはとても可哀想だった。事件の知らせを受けた時、ローランドはアーノルドに剣の練習に付き合ってもらっていた。中庭の噴水脇で爽やかに、体格も立派な頑健な青年と少年を卒業したばかりのような青年が剣を交えてるなどと侍女達にはご褒美のような光景だった。

 そこへ大慌ての兵士が2人飛び込んできて爺からの緊急時用の印が添えられた短い手紙と街の人間が「領主様が浚われた」と報せてきた。と報告があった。
 爺からの手紙にはやはり「ノエル様が浚われた追跡する」とあった。

 2人は息をのみ驚いたがやはり経験の差か、アーノルドはすぐさま対応に頭を切り替えた。

「隼を出せるだけ全部出せ!王都への報せをその中の3羽にのせろ!うまくすればノエルが隼を使って位置を知らせる!」

 馬の用意を命じて室内に戻りマントと剣を持ち「出るぞ!後はそこの呆けた奴に任せる!」と馬を駆って飛び出して行ってしまった。

 飛び出して行った馬の勢いで我に返ったローランドはアーノルドが指示を出したが、隼に持たせる手紙を書いてないためそれに頭を悩ませた。

〈ノエルが誘拐〉……絶対に使いたくない!でも使わないと書けない。でも、これを見た両親の心中は……恐ろしい。本当に恐ろしい!

 
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