Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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怒られてる?

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 あの後区長の玄関はすごいことになった。
同時に玄関に突っ込んできた2人が嵌まって、我先にと争うものだから枠組みがミシミシいっちゃって……あわてた僕が2人とこに駆け寄ろうとしたら言っちゃったんだ。

「バカ!走るな!安定期にすら入ってないんだ!」

「走らないで下さい!お腹のお子が!!」

 いっせいに僕を止める手と、驚く声と、なぜか
「なんて事っ!」って叫ぶおばちゃん達。
反応が一番早かったのは、おばちゃん達だった。
 聞いた途端、腕つかむ→椅子出す→座らせる という流れるような連携プレーでおとなしくさせられた。

「なんてムチャなことをするんだい!」
「何かあったらどうするんだい?」
「まったく、この子は…。」

 なんか……おばちゃん達が皆、お母さんになってる気がする。

「そうなんです。……街に降りるというのも一度は止めたのですが自分の街の人は良い人ばかりだから大丈夫、安全だ。と一点張りで……。」

 こんな時だけ弱々しい年寄りを演じる爺だ。
あれ?そんなに街の人は同情してない?

「そりゃそうだよ。爺はノエルが浚われたと知った途端、鬼のような形相になって何人ものαの兵士を連れて飛び回ってたんだ。あの迫力を見てたら爺が年寄りとは見れない。」

 ……アーノルド‥…心配かけたよね?
そっと近寄って来てくれたアーノルドを見るといつものアーノルドとは全く違う事に気付いた。
 髪はボサボサ、洋服はきちんとしてるけど、そのマントは昨日と同じマントだ。

 アーノルドはマントに拘りを持っていてその日に併せたマントをつけると僕は知っている。昨日は風が強かったから少し重量のある防風用のマント、でも今日は快晴で暖かい…昨日と同じマントをつけるはずは無いんだ。

 それだけでどんなにアーノルドが焦っていたかわかり、注意も聞かず街に降りた事を後悔した。

「ノエル、なんて顔してるの。ノエルはこの街の人達を心から信頼感している。そして街の人達は本当に信頼出来る人達だと今証明してくれた。ノエルの信頼は正しかったんだよ。確かに、今回のことは怖かっただろうし不安だったよね。だからこれからはノエルが街に来ると皆に教えて知っていてもらおう?そうすれば今みたいに皆がノエルを見ていてくれる。悪い人は誰も近づけないよ。」

 椅子に座る僕の正面に跪いて僕の両手を持ち、僕の目を覗き込む。
 ……ちょっとプロポーズの場面みたい。と思っていたら、周りにいた女の人達から「キャー素敵」と声が上がる。

 あ、他人の目だらけの場所だったんだ。
恥ずかしさで顔が赤くなる。また「キャー可愛い」と声が……爺、僕を連れて帰って。

 こんな中アーノルドは一切周りの目を気にせず僕見つめたままだ。そして僕が真っ赤になってとりあえずウンウンと頷いているのを見ると「ノエルは本当に可愛いね、私がこんなにノエルを叱ったのにノエルは私に触れられただけでこんなに赤くなってしまうの?」と……。

 え?今の内容の何処ら辺で僕を叱っていたの??



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