Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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様子見

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 確か誘拐犯は“護衛を連れていたから金持ちの子供とわかった”と言っていたね…僕を全く知らないαを含めた5人。
 他領の人間が流れてきた?おそらくあってるはず。

「あのガキ、売るか?」
「イヤ…身の代金取ってから売るだろう。」
「その前にあいつβかΩか?」
「確認してなかったな…見てこいよ。」
「βだろ?あんな格好したΩなんて…待てよ?この領の領主はΩでΩ擁護主義だったな。」
「持ちもン調べて来い!最悪領主かもしれん…。」

 え!?もうその可能性に気づいた?…ヤバい。
部屋に入ってくる音がした。ゴロンと向こう側を向かされて首元を引っ張られる。
 項にアーノルドの噛み痕があるからΩだとばれるだろう。洋服に紋章の類は無いけど時間の問題かな。

「このガキ、Ωだ。しかも歯型つきだよ!」
「紋章とかは?」
「無いな…領主じゃなさそうだ。靴下に穴開いてるし似てるけど左右違う種類の靴下だよ。」

 ……え、恥ずかしい……助かったけど恥ずかしい!
爺と侍女さんの名誉のために言うと着替えは自分で用意して着替えてたんだよ。

「それより歯型つきか…厄介だな。あの護衛は始末したか?」
「イヤ、撒いたが倒せなかった。ジジイはすぐ逃げ出しちまったし…」
「ああ、ジジイは別にいい。」
「あ?もしかしてジジイがこいつの番じゃねぇ?あの護衛も本当はジジイの護衛なんじゃ…。」

 「そうかもな~。」と残してまた部屋を出て行った。会話からしてαでも優性ではないようだ…これなら付け入る隙はあるかな?

「じゃあ、身の代金取って売っぱらうってことでいいな?おい、ガキがどこの誰か調べてこい。」
「そんなのどうやって調べんだよ-。」
「酒場か飯やでガキがいないって探してる奴を家まで着いてけば直ぐにわかるだろ。」
「オレだけかよ-。」
「オレも行くって-。」

 3人分の足音がドタドタと出て行く。…残る2人はおそらくリーダー格、αの人間だろう。

「おい、あのガキΩだって気づいたか?」
「気付くはずないだろ、番に噛まれたΩはそのαの物だ。Ωの方も自分を噛んだαしか眼中になくなるって話だ。オレらαも人の物より自分だけのΩの方が気分良いからな。……もっとも、あいつを売る先はそんなの関係無い奴等のところだけどな。」

 誘拐犯の話から爺は直ぐに追跡を開始していて、僕が誘拐されたという知らせはこの領内にいるアーノルドとローランドはもちろん王都の両親にまでいってるだろう。…大変だ……帰ったらお説教だよ。

 誘拐犯の話はさっきから同じ内容の繰り返しでえつに入っている感じ。〈αなのに劣性の為能力が低く周りのαからバカにされ続けた自分がこんな大それた事をしてる!凄いことしちゃった自分すげー!ヒャッハー!!〉ってやつですね?

 これ以上じっとしていても進展なさそうだし、反応を引き出す事にした。




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