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冷静沈着な爺
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「赤ちゃん出来たかも」発言に自分で言いながら顔が赤くなってるのがわかる。
……そうだよね、そうだよね。発情期にずっとアーノルドに可愛がられていたんだもの……出来る確率は凄く高い。
そもそも、Ωの発情期の妊娠率は80%はあるだろう誰も統計を取ってないので不確かだが発情期の避妊なしの行為はほぼ確実に出来る。
それなのにそんな事も気づかなかったとは……。
考えられる理由は2つほど…1つ目は発情期が終わった辺り僕は何時もと違っていた。感情的になりやすく気分屋でちゃんとした判断ができなかった。
もう1つは初めての発情期のみ妊娠率が低いというジンクスを当然の物として受け止めていた。なんの根拠も無いのに“初めての発情期はまだ体が出来てないから”なんて考えていた。でもよく考えてみれば、
“体が出来たから発情期が訪れる”のだ。
思い込みというのは恐ろしい。
「大丈夫です。すぐにアーノルド様はいらっしゃいますよ。それに私共もおります……お1人ではありませんよ?大丈夫です。」
爺は裾を握り締めている僕の手を易しくポンポンしてくれている。
爺は本当に頼りになる……この巣の材料だって取り返して来てくれたし、アーノルドの衣類は僕の部屋にちゃんと……って…おかしい……。
うん、ちゃんと落ち着こう。そして考えてみよう。えーと?
今も冷静に僕をなだめてる……用意が良すぎるくらいの用意が良いこと。洗ったアーノルドの衣類をなぜ僕の部屋に爺は持ち込んだ?
発情期が終わり役目を果たした巣が片づけられ、泣いてた時、何時になく慌てた様子の爺が巣材を回収したのはただ僕を泣き止ませるだけ?
発情期が過ぎたのにずっと巣を張る僕に爺は何も言わないでいるのは何故?
考えれば考えるほど僕の思い付きはそうなのだと言ってるようだ。
“爺は既に僕の妊娠を知っていた?”
「爺…爺は、知っていたの?」
多少落ち着きを取り戻し天蓋の隙間から顔を出して聞いてみた。
「そうですね、知っていたと言うよりも予測しておりました。昔聞いたことがあるのですよ“巣はΩの自己主張”だと。何事も与えられたもの以外欲しいと言わず、冷遇された環境すら受け入れるΩの唯一の自己主張は巣だけだと。」
少し懐かしそうな、悲しそうな表情で言う爺は今まで僕が聞いてはいけないと思っていた事を話し出した。
「……もう、何十年も前になります。私にも番がおりました。妻とは別の番です。妻とは家の繋がりのために、番とは自分のために一緒になりました。2人共気だてが良く喧嘩などはしないでいてくれましたが、一度だけ番が“巣はΩの唯一の自己主張”と言ったんです。まぁ、ノエル様の場合はちょっと違う様ですが。」
今はもう思い出となり、またこうして私を助けてくれましたと笑った。
……ちょっと、ちょっとだけ爺の番さんが羨ましく思う。こんなに時間が経ってもなお爺は番さんを愛してるようだ。
……そうだよね、そうだよね。発情期にずっとアーノルドに可愛がられていたんだもの……出来る確率は凄く高い。
そもそも、Ωの発情期の妊娠率は80%はあるだろう誰も統計を取ってないので不確かだが発情期の避妊なしの行為はほぼ確実に出来る。
それなのにそんな事も気づかなかったとは……。
考えられる理由は2つほど…1つ目は発情期が終わった辺り僕は何時もと違っていた。感情的になりやすく気分屋でちゃんとした判断ができなかった。
もう1つは初めての発情期のみ妊娠率が低いというジンクスを当然の物として受け止めていた。なんの根拠も無いのに“初めての発情期はまだ体が出来てないから”なんて考えていた。でもよく考えてみれば、
“体が出来たから発情期が訪れる”のだ。
思い込みというのは恐ろしい。
「大丈夫です。すぐにアーノルド様はいらっしゃいますよ。それに私共もおります……お1人ではありませんよ?大丈夫です。」
爺は裾を握り締めている僕の手を易しくポンポンしてくれている。
爺は本当に頼りになる……この巣の材料だって取り返して来てくれたし、アーノルドの衣類は僕の部屋にちゃんと……って…おかしい……。
うん、ちゃんと落ち着こう。そして考えてみよう。えーと?
今も冷静に僕をなだめてる……用意が良すぎるくらいの用意が良いこと。洗ったアーノルドの衣類をなぜ僕の部屋に爺は持ち込んだ?
発情期が終わり役目を果たした巣が片づけられ、泣いてた時、何時になく慌てた様子の爺が巣材を回収したのはただ僕を泣き止ませるだけ?
発情期が過ぎたのにずっと巣を張る僕に爺は何も言わないでいるのは何故?
考えれば考えるほど僕の思い付きはそうなのだと言ってるようだ。
“爺は既に僕の妊娠を知っていた?”
「爺…爺は、知っていたの?」
多少落ち着きを取り戻し天蓋の隙間から顔を出して聞いてみた。
「そうですね、知っていたと言うよりも予測しておりました。昔聞いたことがあるのですよ“巣はΩの自己主張”だと。何事も与えられたもの以外欲しいと言わず、冷遇された環境すら受け入れるΩの唯一の自己主張は巣だけだと。」
少し懐かしそうな、悲しそうな表情で言う爺は今まで僕が聞いてはいけないと思っていた事を話し出した。
「……もう、何十年も前になります。私にも番がおりました。妻とは別の番です。妻とは家の繋がりのために、番とは自分のために一緒になりました。2人共気だてが良く喧嘩などはしないでいてくれましたが、一度だけ番が“巣はΩの唯一の自己主張”と言ったんです。まぁ、ノエル様の場合はちょっと違う様ですが。」
今はもう思い出となり、またこうして私を助けてくれましたと笑った。
……ちょっと、ちょっとだけ爺の番さんが羨ましく思う。こんなに時間が経ってもなお爺は番さんを愛してるようだ。
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