Ωの僕がお偉いさん

現状報告

　サムスプリング領主の騒動から半年、やっと公に決着が付いた。怒ったアーノルドが不正のアレやコレを問い詰めていったら被害を訴える人が続出して大事になったんだ。

　でも、今日やっと全て片付いた。サムスプリング領主は交代し、弟が領主になるらしい。領地もごっそりと没収され迷惑をかけられたら人の賠償に充てられる。勿論、僕のところも迷惑をかけられたので貰える事になりそれの目録が届いたところだ。

　……えーと、現スサエナ領に面した領地線より20キロ奥に新しい領地線が引かれると。大きい川もあるねぇ……グリフウッドまで繋がってる。フフフ。
　良いねぇ良いねぇ～。良いですよ～。

それに加えて金塊30個……1つの大きさが人の頭くらいが目安。で今後5年間毎年だからかなり多いな。
　資金の目処はつきそう、人手はあるし、良い場所は手に入ったし……ここは一つ大事業を興しましょうか？

　何をって……【自然を満喫しながら優雅に船旅そして世界一の交易都市で買い物】なんて謳い文句はどうかな？フフフﾝ。観光地を作りましょう!

　ちょうど良いタイミングなんだよね。あのサムスプリングの元領主が騒ぎを起こしたおかげで世間の注目はスサエナ領に集まった。それと同時に僕と同じ様に家族に恵まれたΩが教育を求めて集まって来ている。

　人が集まれば必要な物も増える訳で、大人のΩに向けて行っていた職業訓練的な事が今、役立っている。まぁコレを見越して職業訓練を始めたんだから当たり前なんだけどね。

　勿論、βの人向けの仕事も考えてある。街を造り直すのだから建物を建てたりライフラインを作ったりと仕事は多い。これらを指揮するのは勿論α。
でもこのαを探すのが苦労した。

　実績のある経験豊富な人は「Ωの理想」は現実的ではないと請け負って貰えず、仕方なく王族の立場を利用した。王族が依頼人なら良いという人も多かったので改めてΩの固定観念を知らされたけど、なんか複雑だ。

　だって、僕はΩだけど元第一王子で現王族で領主なんだよ？ここまで規格外なのにこの先は規格内に収まると思う方がおかしいでしょ。

……それで、結局は新進気鋭の若手から集めた。
っていえば人聞きは良いけど、アーノルドの友達が来てくれただけ。婚約者様々ですね！

　あぁ、そのアーノルドは１週間後に来る予定。
来てもらったらちょっと大変な目に合わせるかもしれないけれど、是非頑張っていただきたい。
　ちゃんと僕も頑張るよ？……多分。

　さて、そのために今は進めるとこは進めないとね！

「爺～、街の地図出して～」

　最近暇さえあれば地図を見て考え事ばかりしていたせいで地図を爺に隠されたんだ。言えば持ってきてくれるから良いんだけどちょっと面倒。

「この間のお考えが纏まったのですか？」

「そうだよ。やっぱり街の中央には市場を置こうと思うんだ。この街の特性を……」

　構想は止まらない！アーノルドが来る前に目処をつけたいんだけど、間に合うか？
いや、何としてでも間に合わせないといけない！