79 / 685
馬の方がお利口さん
しおりを挟む
四半時ほど後、僕は泣きそうだった。
ローランドを真似て何度やってもうまく行かない。
爺だと力に不安があるからとアーノルドが膝を貸してくれたのに、膝から踏み出す時点でバランスを崩して転がり落ちそうになる事十数回。
見かねた護衛の兵が補助についてくれても馬に跨がる前にアワワってなっちゃう。
チラッと見ると父は手をワキワキさせてるし、ローランドは申し訳なさそうだし……泣きそう。
もう諦めようと思ったら、それまでお利口にしていた馬がブルルルルっと嘶いた。
……後ろ足をおって、しゃがんでくれてる!!
「ありがとう」とお礼を言って、背中に跨がるとゆっくりゆっくり立ち上がって、ローランドの横に並んでくれた!
この子凄い子だよね!?
そんな事で時間を潰したのに父は機嫌も悪くならずにこやかにしていた。僕の馬の手綱が父に渡されたの見て納得したけど。横並びで馬に乗りたかったんだね父様。
爺だけは気づいていた。
「ノエル様、王様は横並びで歩きたいのではありません。供乗りしたかったのです。そしてお一人では不安なので手綱をお取りになったのです!」という心の叫びを押し殺した。
駆け足状態で馬が駆ける。このお利口な子は僕が休憩の度にしゃがんで乗り降りを助けてくれる!
「父様、この様子だと日があるうちに街につけそうで良かったですね?」
「ああ、ノエルと一緒だから道中も楽しかったが疲れてはいないか?大丈夫か?」
もう半分の道のりを過ぎたくらいでそんな会話をしていた時だった。前方に貴族の馬車が見える。僕らがスピードを落とすと護衛の兵が前に周り警戒をした。前方の馬車は此方側を向いて止まってるから何かの反応はあるはずだ。
100メートルほど手前で向き合うように止まる。向こう側も動きがあったからだ。身分提示の旗が掲げられどこの誰かわかったけどここにいる意味がわからない。
馬車の中の人物は隣の領地の領主、ペドロ・サムスプリングらしい。
「父様、嫌な予感しかしません。」
「サムスプリングか…面識は領主認定式の1回のみだな。あまり利口な者ではなさそうだ。」
あんな止まり方してたら通行の邪魔だ。一般人には威圧感を与えるし、通り過ぎる時に難癖つけられるかもと思うと横を通り過ぎる事もできないだろうまた、他の貴族からすれば待ち伏せともとれるから警戒の対象になる。
僕の中ではもう迷惑を考えない人なんだと位置付けされたよ。
馬車の扉が開いて2人の男が出てきた。僕達の方を見て指差して話をしている。…護衛の人、全然動かないね。普通は此方側にこういう理由で止まってますと伝令が来るんだけど、主人が乗ってない?命令が出せない状態?
横の父もその様子に眉を寄せている。アーノルドが警戒して僕のすぐ横に並び僕を自分の馬に移らせる。何かあった時僕の技術だと逃げきれないし身を守れないからだよね。
ローランドを真似て何度やってもうまく行かない。
爺だと力に不安があるからとアーノルドが膝を貸してくれたのに、膝から踏み出す時点でバランスを崩して転がり落ちそうになる事十数回。
見かねた護衛の兵が補助についてくれても馬に跨がる前にアワワってなっちゃう。
チラッと見ると父は手をワキワキさせてるし、ローランドは申し訳なさそうだし……泣きそう。
もう諦めようと思ったら、それまでお利口にしていた馬がブルルルルっと嘶いた。
……後ろ足をおって、しゃがんでくれてる!!
「ありがとう」とお礼を言って、背中に跨がるとゆっくりゆっくり立ち上がって、ローランドの横に並んでくれた!
この子凄い子だよね!?
そんな事で時間を潰したのに父は機嫌も悪くならずにこやかにしていた。僕の馬の手綱が父に渡されたの見て納得したけど。横並びで馬に乗りたかったんだね父様。
爺だけは気づいていた。
「ノエル様、王様は横並びで歩きたいのではありません。供乗りしたかったのです。そしてお一人では不安なので手綱をお取りになったのです!」という心の叫びを押し殺した。
駆け足状態で馬が駆ける。このお利口な子は僕が休憩の度にしゃがんで乗り降りを助けてくれる!
「父様、この様子だと日があるうちに街につけそうで良かったですね?」
「ああ、ノエルと一緒だから道中も楽しかったが疲れてはいないか?大丈夫か?」
もう半分の道のりを過ぎたくらいでそんな会話をしていた時だった。前方に貴族の馬車が見える。僕らがスピードを落とすと護衛の兵が前に周り警戒をした。前方の馬車は此方側を向いて止まってるから何かの反応はあるはずだ。
100メートルほど手前で向き合うように止まる。向こう側も動きがあったからだ。身分提示の旗が掲げられどこの誰かわかったけどここにいる意味がわからない。
馬車の中の人物は隣の領地の領主、ペドロ・サムスプリングらしい。
「父様、嫌な予感しかしません。」
「サムスプリングか…面識は領主認定式の1回のみだな。あまり利口な者ではなさそうだ。」
あんな止まり方してたら通行の邪魔だ。一般人には威圧感を与えるし、通り過ぎる時に難癖つけられるかもと思うと横を通り過ぎる事もできないだろうまた、他の貴族からすれば待ち伏せともとれるから警戒の対象になる。
僕の中ではもう迷惑を考えない人なんだと位置付けされたよ。
馬車の扉が開いて2人の男が出てきた。僕達の方を見て指差して話をしている。…護衛の人、全然動かないね。普通は此方側にこういう理由で止まってますと伝令が来るんだけど、主人が乗ってない?命令が出せない状態?
横の父もその様子に眉を寄せている。アーノルドが警戒して僕のすぐ横に並び僕を自分の馬に移らせる。何かあった時僕の技術だと逃げきれないし身を守れないからだよね。
52
お気に入りに追加
2,676
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。


ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる