Ωの僕がお偉いさん

落ち着こう！父様

　僕を後ろにして立つ父様…声も出さずに縮こまる3人…隣のアーノルドは心なしか遠い目。母様はローランドに「よく頑張りましたね」と声をかけていた。

「あまり見ぬ顔だな？」という問に父様の侍従が3人の身分をあかす。2人は男爵で1人が伯爵だったが優性αが多い城や政治の場では活躍が無い人達だったので父様との面識はほぼ無いらしい。

　この時はプルプルの3匹……違った3人を静かに見下ろして、まだダメージの残る僕を支えてくれるアーノルドを流石に優性αは格が違うと思っていたんだけど、後から最初に王様と直に対面した時を思い出していたと聞いて…沈黙をまもったよ。

「たぶんあの3人も王様が出される威圧のオーラに負けてるんだと思う。あれは向けられたαにしか感じとれないもので、物理的に上から押さえ込まれてる…押しつぶされそうになるんだ。呼吸もままならなくてね…3人で受けてるんだから私の時よりだいぶ分散されてる筈なんだが……。」

　原因は僕絡みというのはわかっていたけど、僕が他人の行動によって行動出来なくなる事が発動条件なのですね。
　とにかくこんな状態ですので部屋に下がらせてください。

　ほんの少し離れた所にいる母様にお願いすると、母様がローランドをどかして代わりに隣へ座る。

「今、ノエルが退場すると王様がより強くあの3人に圧をかけますよ。母様が守ってあげますから大丈夫でしょ？」

ニッコリ笑う母様に、そういえば慣れたαの護りを感じて体が楽だと気づいた。城にいた時は両親の護りでずっといたので絶対防御だと知っている。
　これなら安心安全！

「ノエル、お前が考える領地経営を話してみなさい。今まで提出された書類やなんといったか…あの街の模型をお前の口から聞きたい。」

いつの間にか持って来られた王様専用椅子に座って僕に言う。……あれは放置ですか、そうですか。

　何故か一気に家庭的な雰囲気にしているけど、周りはお客様でいっぱいですよ？
……そうですか、それも放置ですね。

なんとなく、そう…なんとなく、釈然としないけど逆らえるはずもないので父様のご要望通り、お話しいたしましょう。

「街の模型とはジオラマの事ですね?将来の街の風景をわかりやすくしたものです。今現在ある建物は領主館と隣の孤児院ですね。今年中に寄宿学校が出来上がります。大まかに言ってしまえば僕が進めてるのはΩが怯えずに暮らせる街づくりです。」

　本当はチャカチャカ進めたいんだけど、街並みも変える事を考えるとそうもいかないので30年程の間で完成させようと思っている。

　今はまだ前領主の責任追及の最中なのだ。そのせいでなかなか進まない。
…あー、余計な事言ってしまった。
　父様、大丈夫だから！もう追及材料揃えて提出してあるから！明日にでも王様への報告があって、その後は王様の采配だから！

　ン？？あっ……あー、王様は父様だ。
前領主へ、おててを併せてな～む～。