Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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閑話:あのデジレ様*

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 ※今回一部、おじ様達の絡みがあります。苦手な方はすみません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 地下1階の控え室から大声が聞こえた。

「全員手伝いに来てくれ!湯をどんどん沸かして!沸いたら運んでくれ!」

 次々と仕事を振り分けられる。男達は主に湯運びに当たっていた。
湯を運ぶ部屋は言わずと知れたあの部屋だ。何人かの男達は興味有りげに仕事に向かったが殆どの者はもし湯を運んだ時に見てしまったら…そして見た事がバレてしまったらと思うと逃げだしてしまいたい気持ちでいっぱいだった。

……でも悲しい事に拒否権は無い。結果、そそくさと足元のみを見ながら仕事をこなしその無駄のない動きに仕事の評価が上がったという、なんとも皮肉な話ができた。


 例のお道具を綺麗に洗い消毒をして保管箱に戻した最年長の使用人、本来の仕事ではないのに細やかな気遣いが気に入られた部屋係、裏方の人間を采配した侍従など数人はこの後、好待遇で次の職場に迎えられる為に連れて行かれたらしい。

…その様子を見ていた見送りの人間は心の中で思っていた。
 ドナドナドォナドォナ~みんなを載せて~


 海軍提督が離宮から帰国する時、いつもと違う風景があったそうだ。
 海軍提督は馬を駆るのが得意で愛馬と共に陸地を駆け抜けて帰るはずなのだが、今回は優雅に川を舟で下った。
 わざわざ海に待たせてある艦から小型の舟を遡らせて、それはそれは優美な様子であったらしい。

 

 

 海軍提督が帰国する朝、デジレとってはある意味【初めての朝】になるのだが…。慌ただしい空気の中一カ所のみ全ての人間が目をそらした。


 朝目覚めたデジレは体中の違和感に昨日突然あった事を思い出しこの状況を飲み込んだ。αである自分が逞しいと感じる腕、厚い胸板、自分より1周りどころか2周りも大きい体…それが自分を大事そうに抱えて寝ていた。

 (この婚姻は隣国の重鎮が望んだ物で、一貴族が拒否できるものではない。国と国の関係を今まで以上に良好にする為に行くのだ。)
 そうでも思わないといられないデジレは何度も自分に思い込ませた。
 
 腰に鉛のような重さを感じながらゆっくり起き上がる。ベッドから出るのにちょうど良い位置にサイドテーブルがあったから腕で体を支え床に足をつけた。

自分も全裸だとその時点で気づいたが羽織るものは椅子の背中にかかっているのでそこまでは行かないといけない。後ろの海軍提督はまだ寝てるようなので今ならとれる、そう判断して取りに行こうとした。

 ゆっくりと立ち上がり、ギシギシいいそうな足を動かして歩き始めた途端また動きを止めざるを得ない事がおこった。
 自分の足を液体がツゥーッと流れ落ちたのだ。幾筋か流れ絨毯に小さな染みを作った。

 それを見た途端、昨日の事を鮮明に思い出し叫びだしたい気持ちでいっぱいになった。

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