Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

文字の大きさ
上 下
43 / 685

これが公開処刑というもの*

しおりを挟む
 翌朝、父と母に今日の昼過ぎに離宮を離れ領地に向かうと報告にいくと見慣れない男が挨拶をしていた。
 いつものように家族しかいないと思っていたから慌てて態度を繕う。
危ない…いつものように「父様、母様おはよう~」
って入って来なくて正解。

「王様、王妃様朝のご挨拶を申し上げます。」

 男の横を通り斜め前辺りで立ち止まって挨拶をした。男を見て「おはよう」と挨拶をする。

 この男がなんのために此処にいるか知らないけど扉の所の近衛が僕とアーノルドをすんなり通した事から僕達の朝のご挨拶の方が重要とされたけど、挨拶の方が重要っておかしいよね?
 ニコニコと王、王妃としての挨拶が返されたので朝食に行こうとすると、これからデジレの報告を聞くから残るようにと言われた。

「昨晩は役目大儀だった。報告をしてくれ。」

 跪いた男は普段、王の前に出られる役割ではない様子でどう切り出せばよいかわからないようだった。するといつの間に来ていた爺が助けを出した。

「緊張せずに答えなさい。昨晩はどのような役目についていた?」

「はい、私はお客様の部屋のご用意を整える役目を致してますが、昨晩はお客様より側に控えるようにと指示され控えておりました。」

「お客様とはどなたのことか?」

「申し訳ございません。私は身分が低い為お客様のお名前を存じ上げませんが隣国の海軍提督様でございます。」

「そのお2人ならば王より婚姻が許可された。という事はどういう役目が任せられたか解っているな?」

はい、と答えて頭を下げる男はやや顔色が悪かった。
 まぁここまでの会話のやりとりは、よくある【お約束】のものだけど、この先の報告はこの男の言葉次第なのでどういう報告なのか気になる。
 いや一番気にしてるのはアーノルドか…。
横にいるアーノルドは平然としてるように見えるけど気にならない筈はないからね。

「昨晩、私は初夜の見届け役をいたしました。」

「では報告しなさい。きちんと事はなったのだろうな?」

「はい。お辛そうではありましたがデジレ様が海軍提督様を受け入れられたところをこの目で確認いたしました。」

 …なんか会話が際どいな。そういう場面の報告だから仕方ないにしてももうちょっと遠まわしに言ってほしい。しかも初夜の見届け役ってどういうこと?

「そうか、デジレ様のお体はどうか?」

「はい…ローションと張り型をお使いになった後での挿入でしたので出血はございません。ですが…」

「何か不都合が生じたか?」

「いいえ、それはデジレ様がお目覚めになられなければわかりませんが、お2人の交わりは大変激しいものでして何度も交わられた為、事後は…その…気を失われました。しばらくは歩くのも困難かと。」

 お願いです。この報告の場から逃げて良いでしょうか?なんというか、いたたまれないです。
なんで皆、何も思わず報告を聞いていられるの?!
っていうか初夜の見届け役って!挿入って!
…そんなところまで見るの?!それを他の人に言われちゃうの?!


 ショックが強すぎて退室しました。
部屋で僕の時も見届け役がいてあんなふうに報告されるのかと思うと……ベソベソ泣いてたら心配した父と母が来てくれた。

 ちゃんと聞いたよ、この見届け役は絶対いるのかって。今回は国が大きく関わるから特別らしい。
 良かった。こんなの公開処刑だよ……もう外歩けないもんね。

 









しおりを挟む
感想 194

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

処理中です...