集団転移ですよ。

白いモフモフ

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ここだよ~。

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 落ち着いて考えればいい考えが浮かぶだろう。
……。………。 うん、ムリ!
いやいやいや落ち着ける訳ないから!無理だって!

 ひと通り慌てたり不安がって……疲れて落ち着いた。

 やっぱり助けを求めるのが良いのはあたり前なんだけどその方法が思いつかないのよ。声を上げるのは獣をおびき寄せかねないのでダメ。火も頭が良い魔獣がいるかもしれないのでダメ。自分で彷徨くなんてもっての外!

 お助けアイテムの一つも持ってくるんだった。サイールとウルが僕を探すのでどうやって逃げようかとばかり考えていたんだ。まさか見つけてもらえないとは思ってもみなかった。
 不安でちょっと涙腺がウルっときた時、サバイバルチャンネルのsosの合図を思い出した。あれは煙の上げ方を信号にしていた。焚き火をして煙をただ上げるだけじゃなくて途中シートで煙を抑え、人が煙を操作して何かを伝えたいという意思を伝えるという方法だ。
 大抵の人間はおかしな煙を見たら『アレはなんだ?』と思うだろう。それを利用してここに何かを伝えたい人間が居ると知らせられるという言葉を思い出した。

 しかし、焚き火は危険だからちょっと変える必要がある。
 外をそぅーっと覗いて安全だろうと思った僕は手だけを外に出して小さくても明るい火の玉を勢いよく上に飛ばした。小さいから落ちて来るときには燃え尽きるように大きさに気をつけながら連続で5回、打上げ花火のように飛ばす一分の間を置いて更にもう5回連続で打上げまた一分の間を置いてから打上げた。
 あまりやりすぎると変な物を呼び寄せかねないので取り敢えずは一旦止める。最低でも1時間は静かに様子見しようと気配を殺して待った。

 もう1時間はたったか?もう1回やってもいいか?と時計を見るとまだ20分しかたってなかった。……まだか、1時間って長いな……もうやってもいいかな?と逡巡していると物音が聞こえた。
 ガサガサ……パキッ……と鳴る音に耳を澄まして息をころす。サイール達なら良いが獣なら危険だ。

「ここらへんの筈ですよ。」

「ああ、……ジュン、返事しろ。」

  !!!!!紛れもないサイールとウルの声だ!
「ここ!」と言いそうになって寸前で止まる。だって、本で読んだ魔獣の中に言葉を介す物がいたんだ。ビクッと止まったけど直ぐ様『いや、あの魔獣はこっちの言葉を繰り返す事で言葉を話していただけだ』と思い出しホぅっと息をはいた。

 でも僕はなるべくそぅっと土壁を崩してサイールとウルの姿を確認してから「ここだよ~!」と呼びかけた。


 なんで僕が呼びかけたのかっていうと、ホッとしたせいか今更、足は震えるは腰が抜けるはで動けなくなったからだ。しかも安心したせいか急におトイレにも行きたくなって……いや本当に大変だった。

 ん?おトイレ?……ええ、ちゃんと済ませましたよ。
……ウルが喜々として介助してくれたので無事です!
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