集団転移ですよ。

白いモフモフ

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灯りは必要だけど要注意

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 夜の灯りというのは大事な物だが危険な物にもなり得る。日本なら精々が虫が寄って来る程度の迷惑で済むが、この世界の場合は色々と寄ってくる危険があるのだ。
 まず盗賊の類の悪い人間。ここは街の城壁から見える位置なので現れた事はない。
 次に、知恵を持った魔獣。火や灯りの近くには人間が居るという事を学んでいてわざと襲いに来る。
 それから虫。性質上なのだが毒持ちの事もあるので注意が必要だ。

 それを覚えていた僕は灯りをわざと置かないということも考えたけど無理だと直ぐに思い直した。だって僕らは夜目が効かないからね。ならどうする?
 答え、わざと灯りを大きくする。半径500㍍離れた周りに保護者がいるのは解ってるんだからまず盗賊の心配はいらない。保護者が居なかった場合でもまず300㍍離れた位置からなら僕らも反応できるし魔獣も見つけやすいと考えた。
 虫はどうする?……虫の性質は仕方無い。こっちは他の方法で避ける。
 
 だから一番迷惑がかかるだろうサイールに許可を貰ったのだ。サイールはこれらのどれからも自身の力で難なく対処できるだろうから大丈夫だろうと思ったから。


 灯りの設置は終わった。水の確保食料も大丈夫……焚き火用の薪は今行ってる……空の太陽の位置から後2時間で日が沈むだろう。

 「他にやっておく事あるかなぁ?」
 
 薪を置きに戻って来た佐藤君に聞くと佐藤君も首を傾げる。

 「石の竈も有りますし、今回は風呂無しですし。各自のテントも大丈夫。火は今興してる最中……もっと薪を集めるくらいでは?」

 だよね~。僕は今煙と戦ってる真っ最中ですし。なかなか火が安定しないのよ。大きな薪を向こうで相澤君が切ってくれてるので早く……あ、きたかも。ここで油を含んだ薪を投入……やっぱり藤の蔦はよく燃える。

 「じゃあ、オレはそろそろ虫除けの蚊帳吊って来ますね。」

 そう、今回なんとあの3人は大きな蚊帳を持ってきてくれたのだ。だからご飯や焚き火番はその中で出来る。後はテントの周りにオリーブの油を熱して撒けば虫除けになる。僕が今やってる火起こしの理由はこの油を熱する為のものだ。
 まぁその後はご飯の用意に使うけどね。


 日が落ちて周りは闇が深くなったけどここの一帯は明るい。灯りの魔石は日用品なのでとても安いため大量に用意できたのでよかった。
 明るさは問題ないのだけど、この灯りの魔石も蛍光灯の様な白い物と電球の様なオレンジ色のがあったらしく知らなかった僕たちは遠くの……たぶん端っこが全部蛍光灯の様にすっごく明るいのを見て『アチャー、保護者様方ごめん。』と思った。僕らの方も所々で蛍光灯があったのでそれは虫寄せとして少し離れた所のと交換した。

 あらかた作ってあった物を温めるだけの簡単夕食はとても美味しくて……僕の夕食はなんとお茶漬けだったのだけど、これで充分だと思った。

 「うん、ジュンのそのアイデア良いよねぇ。おにぎりの具材多めを2個持ってきてお湯入れるだけって楽だもん。」

 具材に柚子味噌を使っていたので香りが良くて皆に気づかれたんだ。あ、因みに柑橘類は実は魔獣が嫌がる匂いなので漂っても大丈夫なんだって。
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