集団転移ですよ。

……意気消沈

　補講?が無事に終わり、実習のやり直しの案内が来ても僕ら5人は元気が無かった。補講?終わりに各自ヘ髪が渡されたのだが、宮田先生の気づかいというそれは僕らを更に暗くさせた原因だ。

『淳平、君の場合は2人の高ランク冒険者を相手にすることから日頃の訓練も大事になります。君は既に風と水の魔法の扱いがうまくなっているようなので事後の事はなんとか考えているようですね。ですが事前が一番大事です。体力作りは勿論の事、常に柔軟体操をしなさい。体を柔らかくし骨にかかる重圧を少なくするのです。』

　ここまでなら有り難い気遣いで済んだのだが、最後の『受け入れの準備も訓練しなさい』と潤滑剤に使える物のリストと作り方まで添えられた事で気分が落ち込んだ。

　だが落ち込んだままでもいられないのが現状だ。なにせもう１回実習に行かなくてはならない。そして今回こそは保護者の手助け、口出し一切無し!と言及されている。ついでに前回与えられていた、いきすぎた過保護アイテム達も一時没収されている。因みに僕のテントセットは無事だ。
　という事で調理場をかしてもらいせっせと保存食を作っている。アレコレと落ち込んだり浮上したりしながらの料理だったため、今一組み合わせとしてどうかと思ったり、保存食と言うには首を傾げる物もあったがまぁいいや。

「ジュン～、用意したの?」

　器に入れてバッグへ締まっているとナオが顔をのぞかせた。ナオの方も一応吹っ切ったらしい。返事と同時に料理も見せるとナオは不安げな顔になる。

「またやり直し言い渡されない?」

　不安げなナオの顔に僕も不安になる。いきすぎたアイテムが禁止ということはもしかしてバッグも?


　そして僕らはバッグも持たないことを決めた。






　２度目の実習場所は『レベ上げの平原』という場所だ。やっぱり街から近く比較的安全圏。この世界の子供は最初のソロキャンプをここでするらしい。
　現地集合の場所に予定時間の２時間前に到着した僕とナオは疲れ果てていた。

　何をダメ出しされるかがもうわからなかった僕たちは来た時のリュックサックに入るだけ入れてゆっくり休憩しつつ来た。日の出と同時に門を潜り、焚き木を拾いつつ。
　集合するまで甘い物を食べてカロリー補給に務める。

「この装備なら絶対大丈夫だと思わない?」

「うんうん、完璧。テント、マット、毛布、薬、着替え…食料。ナイフも灯りも有る!余計な物は一切ない!」

「いやいや、一切ない!…じゃなくて持って来られなかったんだよ。」

　ケタケタ笑っていたら皆も到着。
やっぱり笑ったのは3人も同じ様な格好で来た事だった。