集団転移ですよ。

体調不良

　翌朝、サイールとウルに挟まれて起きた。
フカフカ毛皮の寝床は例のテントの中だ。

　「あ、起きた。ちょっと健康診断させてね。」

　目が覚めたのに気付いたウルがまだ寝ぼけてるジュンを抱き起こす。半分寝てる状態なので起こした半身がグラつく。仕方無いとサイールが自分に凭れさせて安定させた。

　「ん、脈拍心拍数問題なし。目は～赤いけどまぁ仕方ないでしょ。熱も大丈夫そうだね。」

　なんだか頭が重くて珍しくももう一回寝たいと思う。

「おいウル、ジュン寝そうだぞ?」

「え、あれ?ジュン?どこかでおかしい?」

　抱え込んでくれるサイールの腕が気持ちよくてウルの問いかけにも半分意識を飛ばしたまま「頭…重い……寝たい」と答えた。

　「おいどうする?」
「うーん、特に変なところは無さそうだけどちょっとウルフの所に行ってくる。サイールはそのままジュン見てて。」

　いつもの朝とは様子の違うジュンに何かおかしいと感じて一番ジュンの情報を持っているナオに聞こうと思ったのだ。だがナオは朝の目覚めが悪くウルフに起こされてもなかなか目を覚まさない。だがダメもとでウルが声をかけてみると反応があった。

　「………ジュン………ん～……片頭痛……もち……。ストレス…昨日　かかった……寝不足も。」

　情報は得た。用事は終わったのでテントに戻るとサイールの腕の中で眠ってしまったらしいジュンを見る。

「どうやらジュンはストレス性の片頭痛が在るようです。おそらく昨日のパニックの影響と寝不足だろうと。」
「そうか、あんな様子になるのも原因があるかもしれないな。普段なら恐怖に怯えてもあんなふうにはならなかった。」

　

　昨日の事からも実習は一時中断になっているので相談の結果、とっとと街へ戻ることになった。その間ジュンはナオに面倒を見てもらいウルとサイールで片付け帰り道はサイールの腕の中だった。

　戻ると生徒達を出迎えたのは川崎先生で呆れかえっていた。
「……面倒をかけて申し訳ない。言い訳だが…まだ理解が足りない。……オレが言えることじゃないんだが、自分が性対象になるなんて考えられなかったからな。……あー、いや、ジュンとナオに関しては違う。あの2人は天然だ。」

　ジュンの情報を得ようとウルとサイールは今回の事を話す為に談話室で話すウルフに同席をした。
　転移してくる前の暮らしは話でよく聞くし見ていても解っていたはずだったが自分達も認識が甘かったと知った。

　「……ジュンの事ですか?あ～……それは別の人が良いでしょうね。自分は一緒に来ましたが、あの2人は渡る時に初めて会ったんですよ。あの2人の担任教諭が幸いにも居ますのでそちらを訪ねて下さい。」

　ここでもまた自分達も色々と足りないのだと思い知った。