集団転移ですよ。

訓練 とは

　予想の斜め上を行く答えに一瞬時間が止まった。
なんて仰いおっしゃました？魔獸よけですらこの3人が揃っていればこのダンジョンなら要らないというのに、魔獸よけを使いさらにはこの階層の魔獸を物理的になくした…と？

　「ええ。だから今日は美味しいものをお腹いっぱい食べてゆっくり眠りましょうね。」

　優しく笑うウルに「ハイ。」と笑顔で答えそうになったけどちょっと待て。流されちゃいけない。
ここの広さは千葉県にあるのに東京と名前がついている世界でも有名なあの某ランドの敷地数個分もあったはずだ。
　僕はちゃんと覚えてるぞ早瀬君が広さを表すときにランド（オフィシャルホテルの敷地含む）数個分で説明してくれたので解りやすいって笑ったから。何㎡とか言われてもわかんないもん。
　だけどこの匂いには抗えずナオと2人してフラ～っと誘われお腹いっぱいにして大満足でまたしてもフラ～っとフカフカ大型ベッドの波に埋もれてぐっすり朝までコースを堪能してしまった。

　翌朝起きれば一緒に眠ったはずのナオの姿はなく、左右にウルとサイールがいて腕枕付で覗き込まれていた。創造してみてほしい。目が覚めたとたん超絶美形のエルフとガチムチ超絶イケメンが頭を撫でていたり腕枕してガン見していたとしたら？
因みに腕枕してくれていたのはサイールなんだけどちょっと腕が太すぎで首に無理が……。あと固い。僕は薄型羽枕派なんです。

　ちょっと腕を動かして口元を擦る。……たぶん大丈夫だとは思うけど涎垂らして寝てたら跡がついてるから念のためにね。
　そんな僕の行動はサイールが『大丈夫』と言ってくれたことでバレてると気づいた。

　僕の目がちゃんと覚めたところで朝ごはんにしようと朝支度をはじめた。

　「今日の朝ごはんは『由緒正しい日本の朝ごはん定食』だよ。」

　というウルにサイールが「それなら間違い内だろうな」と頷いた。聞いたらその『由緒正しい日本の朝ごはん定食』というセットメニューの名前らしい。例のごとく、ずっと前に来た人が　白ご飯、豆腐の味噌汁、キュウリの浅漬け、焼き鮭　をセットにしてそういう名前にしてしまったらしい。因みに『若者の日本の朝ごはん』というのもあって焼き鮭がベーコンエッグに代わっただけらしいけど。
　なんだかそう聞いたら『由緒～』の方は先生の誰かで『若者～』の方は生徒が対抗して作ったんだろうなと予想される。

　リビングスペースに行くともう用意はされていてご飯と味噌汁をよそうだけとなっていた。どうやらウルは先に起きて用意をした後、僕を眺める為にまたお布団に潜り込んでたらしい。……なんてこった。
　美味しくいただいてもう終る頃、ナオが盛大な寝癖をつけたまま連れて来られた。まだ半分眠っているナオを腕に抱いて満足そうにしてるけど、ウルフさんこの前もそうやってナオを眠らせちゃったよね？
　しょうがないので冷たいお絞りでんナオの顔を拭いてあげたらビクッとして目を開けた。
それにブツブツと小さく文句言うウルフさんを見て僕は辞書で『訓練』という意味を調べたくなってしまった。……十中八九無いだろうけど。