集団転移ですよ。

白いモフモフ

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ターイやヒラメの舞い踊り~

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 宴会は進む。宴会?うん、まぁ宴会だよね。
畳お座敷にお膳の食事。酔って笑う先生、無事に連れて来られて良かったと安心してる人達、久しぶりの再会に(僕らにとっては数日だけど先に来てた人にとっては何年ぶり)駆けつけてくれた(元)同級生や先輩後輩の笑顔。……子供or女性扱いに戸惑う数人はいるけど、一息つける状況になったのは嬉しい。これからどうなるのか、どうするべきなのかまだまだ分からないけどまぁどうにかなるでしょ。

 「無事に着いて良かった~。ところでオレ、誰かわかる?」

 デザートのプリンを持って寄ってきた10才くらい年上の人……目でわかった!特徴的な一重に瞼上の黒子はクラスの学級委員長。

「っ!わかった!館林君だ!」

「当たり~。えらいえらい。」

「わかるよ~。あ、アメ有り難うね。昨日食べたよ~。」

 館林君には登山口でアメを貰っていたのだ。昔懐かしのイチゴアメ。臭いがするので街近くまでは食べないでと言われていたが許可されたので溶ける前に食べたのだ。

「え?アメ?あげてた?」

「うん、登山口でね。」

 館林君は6年前に来たらしい。そのわりにはもっと上に見えるから原因と思われる無精髭をなんとかしたほうが良いと思う。まぁ本人の好き好きですから口にはしないけどね。

「一緒に来たのは関谷な。アイツは冒険者になってあっちこっち行ってるからメールしといた。そのうち帰って来るだろ。」

 関谷君はクラス一の体格がよかった子だ。180以上の身長に100キロの体重。部活には入ってないが、隣の市にある相撲部屋に弟子入りが決定していた。その関谷君が冒険者?!

「アイツ、こっち来てから脂肪を全部筋肉に変えやがって今じゃゴリラだよ。ここの人達の一回り小さい版って感じのゴリラ。しかも保護者無しで生活してる。」

 思わずナオと顔を見合わせてしまった。“もしかしたら僕らにも希望が?”と思ったのもつかの間、いつの間にか側に来ていた早瀬君に「イヤ、ムリだから」と冷静な突っ込みをいただいた。

「何?ジュンもナオも期待したの?イヤイヤムリでしょ。有り得ない。そもそも身長からして……うん、ゴメン。」

 僕とナオのじとっとした視線に館林君は素直に謝った。ハァーやっぱり無理か。
 そんな話をしていたら突然回りが大きな手拍子をとり始めた。(お?何か歌でも始まるのか?)と思ったら、思わず飲んでたお茶を噴きそうになった。イヤ、隣のナオは噴いたようだ。鼻にはいったらしく騒いでいるが、ウルフさんが世話をやいてるのでいいだろう。そんな事よりもそうなった原因は舞台上の物体だ。
 上半身の洋服を胸の上まで捲し上げてまとめ、本来の胸や腹の部分に奇妙な顔を書き、体をくねらせて腹の顔に表情をだす。つまり、“腹踊り”。

「この躍りはジュンの世界に古くから伝わる踊りだと聞いている。一人前のビジネスマンというものがが習得する技だとか。」

 サイールの感心したかのような言葉に目をむく。誰が伝えたんだ!?なぜ誰も訂正してない?!
ねぇなんで?!

「アハハハハハハっはぁ…笑う。いや~なんか…ね。もう定着してるし……こんなのも伝わってるって良いよ?」

 ひとしきり笑った後の館林君の目は少し淋しそうだった。
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