集団転移ですよ。

白いモフモフ

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 翌朝、一緒のキャンプ地にいた商人の隊を見送った後、僕たちも出発した。今日は僕はサイールの馬に載っている。サイールは一言で言えばマッチョマン。ボディービルダーですか?って感じだ。真っ赤な髪に刈り込んだ短い髪形がよく似合っている。目は切れ長の黒。浅黒い肌は本当に強い男だと思わせられる。そして背中に大きな黒い剣を背負ってるのが特徴だ。
 僕はというと、昨日のように毛布を敷いて乗せてもらっているけどサイールに繋がれていない。その代わりに亀の甲羅みたいなものを背負っている。でもこれは早瀬君を含めてこちらに来た僕たち皆が背負っている。


『今日はとても危険な場所を通り抜ける。この先に岩山が出てくるがそこは猛禽類の魔物が出る。大きさは馬2頭程だが獰猛だ。上から素早く獲物を攻撃し連れ去る奴らだから厄介だ。』
 ウルフさんの真剣な目は僕らを脅すには充分で、配られた亀の甲羅を黙って受け取った。

「リュックサックのように背負ってベルトで止めて、こうやって大きさ確認して。」

 早瀬君がやってくれた見本は本物の亀のように伏せて手足、頭を隠せるかというものだった。

「……うーん。先生がちょっと小さいかなぁ?でもこれ以上大きいの無いから我慢してください。これは僕たちの命綱です。魔物に襲われてもし馬車が壊されたり馬から落とされた時、今のように地面に伏せて手足と頭を縮めて助けを待ちます。この甲羅はメタルタートルの子供の物でとても頑丈なうえ凹凸が無いので爪で引っ掛けられないのでこうして待ってれば大丈夫です。安心して下さい。」

 ニコニコと安心して下さいと言う早瀬君だけど、今日の早瀬君はジンさんの前に乗っている。赤ちゃんは早瀬君が抱いてるのでそれこそ“親亀小亀”だ。

「まだツカサは魔物の中を突破する腕はないから仕方ない。」

 そうジンさんは言うけど、全然“仕方ない”って思ってなさそうな顔だ。早瀬君も目を合わせて嬉しそうだし、こんな緊張しないといけない場所なのについ『あま~い!』と叫びたくなる。


 出発してから一時間くらいするとサイールとも自然に喋れるようになってきた。サイールは僕のお腹に手を回して支えてくれているので落ちる心配はない。僕をリラックスさせるためか向かう先の都について詳しく教えてくれている。
 都に着いたら健康診断を受けた後、宿泊場所に移動し馴れるまで集団行動となるらしい。宿泊場所には僕らの前に来た2グループもいるので20人程になるらしいがそろそろ出るという話も聞いてるからどうなるかな。とか、初めは観光して色々見てまわると良い。お薦めは…とか話して和んでいた。

 先頭が止まり、遊撃隊が準備をはじめた。

「この小休憩の後、岩場に差し掛かる。」

 そう言うと、僕を一度馬から降ろしてチェックを始めた。

「サイール。どう?大丈夫そう?」

 ウルが先頭の一団から抜けて来てくれる。今日のウルは先頭団体の後方支援で魔法を使いながら中間の先生達が乗る馬車の護衛も受け持つらしい。見た目どおりの優秀な人材らしい。
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