集団転移ですよ。

白いモフモフ

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 僕を抱えて一緒に馬に乗ってくれているのはウルと呼ばれていた人だった。ウルはもう1人の専属であるサイールよりは細いけど、筋肉達磨じゃないというだけで立派な体躯だ。銀髪に氷のような澄んだ青い目は整った顔だちと相まって冷たい印象を受けたけど、僕を扱ってくれる仕草はとても丁寧だった。乗ってる馬は白いユニコーンのような一本角のある馬で毛並みはサラサラだった。

 ウルの前に毛布をクッションの変わりに敷いてのせてもらう。落ちないようにウルと革のベルトで繋がれたのは仕方ない。(最初は赤ちゃんのように前抱っこで固定されるところだったのでこれ以上文句は言いません。)

「大丈夫か?痛くはない?」
再出発してからウルに頻繁に聞かれる台詞にまだ大丈夫と答えるのが当たり前になってきた頃、斥候で出ていた二人組が帰ってきた。この先のキャンプ地に商人の隊が居るそうなので合流して泊まるのが良さそうだという。商人の方もこちらが高ランク冒険者の集まりと知って大喜びらしい。
 そうだよね。こういう危険な場所の野宿なら人数は多い方が良いに決まってる。それが信用のおける冒険者ギルマスが率いる隊ならなおさらだ。

 今日のキャンプ地だという場所に着くと、思っていたような場所とは違って意外と拓けた場所に木で作られた囲いもあった。ちょうど一本が僕くらいの太さの木をロープで繋ぎ、5本セットを1組として地面に突き立てているような壁は所々隙間を開けてぐるりと周囲を囲っている。一応、防御柵っていうことでいいのかな?
 僕たちが馬から降ろしてもらう頃にはもう皆は個々に動き回ってテントの組み立てに入っていた。
 荷馬車に乗っていた先生達も降ろされて手伝いをしているので一緒に手伝おうとすると、早瀬君と赤ちゃん、ナオと僕が一纏めでウルフさんに預けられた。赤ちゃんを慣れた手つきであやしながら来た早瀬君が教えてくれた。

「こういう時はね、力も背丈も足りない僕たちはおとなしく一ヶ所に纏まっておくに限るの。この場面じゃ僕たちは邪魔にしかならないから。でも、この後が忙しくなるよ。」

「忙しく?」

 こんな僕らが役にたつのかと不安に思っていたけど僕らの役目を聞くと納得がいった。

「この後の食事の支度。まずはジャガイモの皮むきからね。その後の煮込みは他に任せておいてもいいけど、高ランクの冒険者は毒耐性を持ってるからジャガイモの芽なんて気にしない人も多いからね。それから食事が終わったら洗い物。彼らは適当過ぎるから…。」

 あぁ、適材適所なわけね。しかし毒耐性は羨ましい。そのうちぼくも覚えられるかなぁ。
 そんな話をしつつツカサの赤ちゃんをあやしているといつの間にかテレビで見た様なモンゴル地方のテントが出来上がっていた。中には革のマットを敷いて使うらしい。僕らには簡易的なベッドも用意された。冒険者の人たちは地面でごろ寝でも問題ないらしい。……強いな。

 ちなみに、この日の夕食はカレーだった。サバイバル感の強いこの男達にキャンプの定番メニューとは…ギャップがなんともいえない。
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