12 / 91
移動中
しおりを挟む
小屋を出てから1時間もたった頃、馬車になれてきただろうからスピードアップすると言われた。このちょと先は背の高い草の茂る草原なので魔物が身を隠して襲ってくる危険性があるため早く通過してしまいたいらしい。
ガタッとひときわ大きな揺れがして続けてガタゴトッと揺れた。手が掴まっていた物から離れ“ヤバイ”と思った時今度は大きくガタンと馬車が跳ねた。あっという間に空中に投げ出され、それを助けようとしてナオの手も外れてしまった。だが幸いにもジュンとナオの隣を並走していた2人が地面に落ちる前にキャッチした。
「!危ないじゃないかっ!なぜ手を離した!」
ウルフさんに怒鳴られてビクッとなった僕達の手を僕の護衛と紹介された人が見に来た。
「ウルフ、無理だ。この子達の手は赤子のような手だ。見てみろこんなに真っ赤になってしまっている。ケガはしてないか?」
豆になってしまっている手をそっと撫でられてチリッと痛みが走った。思わず顔をしかめてしまったのを見られその部分を確認される。早瀬君が自分のポーチから包帯を取り出して投げた。危なげなくそれをキャッチした護衛の人は手早く手当てをして自分の皮の手袋をはめさせてくれた。
幾分大きかったけど手の甲の部分がベルトで調節出来る事と包帯の厚みで脱げる事は無さそうだ。
「ナオ、君の手も見せなさい。」
優しさを取り戻した声でウルフが自分の腕の中のナオに声をかけた。幸いナオの手は赤くなっているだけだったけど、ウルフは痛ましそうに見た。
「……ウルフ、僕もだけど…ジュンとナオは自分の全体重を手や腕で支える事は出来ない。だから荷物に絡み付くようにしてみたけどダメだったみたい。僕が来た時はジンの馬に同乗せてもらったけどそれじゃダメかなぁ?」
自分の後方で子供を抱きながら馬を操る人を見ながら早瀬君が助けを出してくれた。……黒い馬の方は怖いけど白い方はユニコーンみたいだからそう怖くないし、また馬車に乗せられても再び空中に投げ出されるのはわかりきっている。是非とも馬に乗せてもらいたい。
そう思っていたら自然に自分を抱えてくれている人の手首をぎゅっと握っていたらしく、僕を安心させるために頭を撫でながら「大丈夫」と言ってくれた。
「ウルフ、この子は俺が乗せてくよ。この先の道はもっと悪くなるし魔獣も出やすくなる。明日は俺も遊撃になるけどここら辺なら大丈夫だろ?」
それにこんな子供には色々とケアが必要だ と続けられ、一瞬喜んだもののがっくりしてしまった。
「……一応、あの3人より年上なんです。」
あの3人、と馬車の上の後輩を指さすとそこにいた屈強な男達は動きを止めた。
「……気のせいか?……おかしな言葉が聞こえたが。」
そのなかの1人がようやくといった感じで僕らをじっと見てきた。
やっぱり、認められないのかとがっかりした。
ガタッとひときわ大きな揺れがして続けてガタゴトッと揺れた。手が掴まっていた物から離れ“ヤバイ”と思った時今度は大きくガタンと馬車が跳ねた。あっという間に空中に投げ出され、それを助けようとしてナオの手も外れてしまった。だが幸いにもジュンとナオの隣を並走していた2人が地面に落ちる前にキャッチした。
「!危ないじゃないかっ!なぜ手を離した!」
ウルフさんに怒鳴られてビクッとなった僕達の手を僕の護衛と紹介された人が見に来た。
「ウルフ、無理だ。この子達の手は赤子のような手だ。見てみろこんなに真っ赤になってしまっている。ケガはしてないか?」
豆になってしまっている手をそっと撫でられてチリッと痛みが走った。思わず顔をしかめてしまったのを見られその部分を確認される。早瀬君が自分のポーチから包帯を取り出して投げた。危なげなくそれをキャッチした護衛の人は手早く手当てをして自分の皮の手袋をはめさせてくれた。
幾分大きかったけど手の甲の部分がベルトで調節出来る事と包帯の厚みで脱げる事は無さそうだ。
「ナオ、君の手も見せなさい。」
優しさを取り戻した声でウルフが自分の腕の中のナオに声をかけた。幸いナオの手は赤くなっているだけだったけど、ウルフは痛ましそうに見た。
「……ウルフ、僕もだけど…ジュンとナオは自分の全体重を手や腕で支える事は出来ない。だから荷物に絡み付くようにしてみたけどダメだったみたい。僕が来た時はジンの馬に同乗せてもらったけどそれじゃダメかなぁ?」
自分の後方で子供を抱きながら馬を操る人を見ながら早瀬君が助けを出してくれた。……黒い馬の方は怖いけど白い方はユニコーンみたいだからそう怖くないし、また馬車に乗せられても再び空中に投げ出されるのはわかりきっている。是非とも馬に乗せてもらいたい。
そう思っていたら自然に自分を抱えてくれている人の手首をぎゅっと握っていたらしく、僕を安心させるために頭を撫でながら「大丈夫」と言ってくれた。
「ウルフ、この子は俺が乗せてくよ。この先の道はもっと悪くなるし魔獣も出やすくなる。明日は俺も遊撃になるけどここら辺なら大丈夫だろ?」
それにこんな子供には色々とケアが必要だ と続けられ、一瞬喜んだもののがっくりしてしまった。
「……一応、あの3人より年上なんです。」
あの3人、と馬車の上の後輩を指さすとそこにいた屈強な男達は動きを止めた。
「……気のせいか?……おかしな言葉が聞こえたが。」
そのなかの1人がようやくといった感じで僕らをじっと見てきた。
やっぱり、認められないのかとがっかりした。
23
お気に入りに追加
195
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる