集団転移ですよ。

白いモフモフ

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 小屋を出てから1時間もたった頃、馬車になれてきただろうからスピードアップすると言われた。このちょと先は背の高い草の茂る草原なので魔物が身を隠して襲ってくる危険性があるため早く通過してしまいたいらしい。
 ガタッとひときわ大きな揺れがして続けてガタゴトッと揺れた。手が掴まっていた物から離れ“ヤバイ”と思った時今度は大きくガタンと馬車が跳ねた。あっという間に空中に投げ出され、それを助けようとしてナオの手も外れてしまった。だが幸いにもジュンとナオの隣を並走していた2人が地面に落ちる前にキャッチした。

「!危ないじゃないかっ!なぜ手を離した!」

 ウルフさんに怒鳴られてビクッとなった僕達の手を僕の護衛と紹介された人が見に来た。

「ウルフ、無理だ。この子達の手は赤子のような手だ。見てみろこんなに真っ赤になってしまっている。ケガはしてないか?」

 豆になってしまっている手をそっと撫でられてチリッと痛みが走った。思わず顔をしかめてしまったのを見られその部分を確認される。早瀬君が自分のポーチから包帯を取り出して投げた。危なげなくそれをキャッチした護衛の人は手早く手当てをして自分の皮の手袋をはめさせてくれた。
 幾分大きかったけど手の甲の部分がベルトで調節出来る事と包帯の厚みで脱げる事は無さそうだ。

「ナオ、君の手も見せなさい。」

 優しさを取り戻した声でウルフが自分の腕の中のナオに声をかけた。幸いナオの手は赤くなっているだけだったけど、ウルフは痛ましそうに見た。

「……ウルフ、僕もだけど…ジュンとナオは自分の全体重を手や腕で支える事は出来ない。だから荷物に絡み付くようにしてみたけどダメだったみたい。僕が来た時はジンの馬に同乗せてもらったけどそれじゃダメかなぁ?」

 自分の後方で子供を抱きながら馬を操る人を見ながら早瀬君が助けを出してくれた。……黒い馬の方は怖いけど白い方はユニコーンみたいだからそう怖くないし、また馬車に乗せられても再び空中に投げ出されるのはわかりきっている。是非とも馬に乗せてもらいたい。
 そう思っていたら自然に自分を抱えてくれている人の手首をぎゅっと握っていたらしく、僕を安心させるために頭を撫でながら「大丈夫」と言ってくれた。

「ウルフ、この子は俺が乗せてくよ。この先の道はもっと悪くなるし魔獣も出やすくなる。明日は俺も遊撃になるけどここら辺なら大丈夫だろ?」

 それにこんな子供には色々とケアが必要だ と続けられ、一瞬喜んだもののがっくりしてしまった。

「……一応、あの3人より年上なんです。」

 あの3人、と馬車の上の後輩を指さすとそこにいた屈強な男達は動きを止めた。

「……気のせいか?……おかしな言葉が聞こえたが。」

 そのなかの1人がようやくといった感じで僕らをじっと見てきた。
 やっぱり、認められないのかとがっかりした。
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