集団転移ですよ。

白いモフモフ

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霧の向こう

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 空腹が収まると気持ちも幾分落ち着く。一息入れたところで周りの安全を確かめようとなった。……因みに先生も僕達もスマフォは圏外なのを確認。非常用の衛星電話はガイドさんしか持っていないのでわからない。ついでに笛を吹いて呼びかけても応答は無かった。

「ジュン!岩から離れるなよ。皆手をつないで端は先生が行くから。」

 先生の提案で周りの確認の為、手をつないで伸ばし霧の中を見てみようとなった。僕は岩を掴んで反対側の手でナオと手を繋いでいる。
 本来なら僕とナオが手を繋げば登山道の端になる広さしか無かった筈なのにナオの隣に相澤、佐藤、内田と手を繋いでもまだ端にならないようだ。両腕の長さは身長と変わりないという。手を握る分足りないとしても、単純に160センチ2人と180センチが4人ならば1040センチ。つまり10メートル以上は幅があることになる。

「……おい……うそ…だろ?」

 僕から見ると先生は霧の中。その霧の中から声がした。先生の声からして危険は無さそうだけど明らかに不振そうだ。

「皆…、荷物は背負ってるな?」

「手を繋いだままでいろ、ジュンは岩から手を離して良いぞ。皆…こっちに来い。」と続いた先生の言葉に僕は手を離した。

 手は皆繋いだままで先生と同じ場所に行くと、全く覚えのない場所にいる。後ろを振り向くと僕の掴んでいた岩はある。

 ……あれ?霧が無くて岩が見える?

「さっきは霧があってジュンが岩を掴んでいるのが見えていた。……あんなに霧が深かったのにな……。」

 僕の疑問を先生は口に出した。皆に聞かせるためでもあるけど、先生は自分にも言ってるように聞こえる。うん…まぁこんな不思議体験はしたこと無いもんね。僕1人だったらどんなにパニクっていただろう?ナオと2人でも2人揃ってパニックに陥りそうだけど、やっぱりこれだけ人数いたから落ち着けたのかな。イヤ、落ちついてはいないな手汗が酷い。


 先生が「ウソだろ」といった理由はこれだ。そして僕達を呼んだ理由もこれだ。
 霧が無くなっているという他にもう1つ変わっているのが時間帯。僕達はお昼を食べてすぐ行動してた。だから今、もうすぐ夜になりそうな夕焼けの空があるのはおかしいよ。
 イヤ、それよりも、僕達を呼んだ理由は目の前に小屋があるから。しかもちゃんとした大きさで丈夫そうな小屋だ。

 僕達は目の前…といっても100メートルくらい離れてる小屋に向かって歩き出した。人が居ればここがどこで僕達はなぜこんな不思議体験をしているかわかるような気がしたから。誰も何も言わなかったけど自然に皆歩き出した。

 小屋に人は居なかったけど看板があった。木を彫った大きな看板でとても丈夫そうで古い。それなのに看板には【私立 東方学園 春宮高等学校】と僕達の高校名が彫られていてその下にはまた看板があり【春宮高等学校の関係者避難小屋  関係者は自由にお使い下さい。開錠ナンバーは登山日の西暦です。中の説明文を良く読むこと】とあり、最後に教頭先生の名前があった。
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