夢は果てしなく

白いモフモフ

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お屋敷

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 とりあえずの自己紹介。リーダーを任せた子はガブリエルという名前らしい。ここでは必要なかった筈だけど赤色の人達がこの先、家柄を持ち出し難癖をつけてきたらガブリエルが対処してくれると言った。という事はこの子は貴族か。
 その後、時計回りで自己紹介が始まったので僕が最後になった。

「さぁ、じゃあ各部屋を決めよう。まず、高所恐怖症等の理由があって2階じゃダメな人はいる?」

 1人、足を挫いた子がいたのでその子は1階と決まった。次にどちら向きの窓がある部屋が良いかの希望をとった。「寒がりだから夕方まで日の入る西側の部屋が良い」という子。反対に暑がりなので北側を希望する子。寝坊しやすいから朝日の入る東側が良いという子。希望は色々で良い感じにバラけていた。希望が重なった子が居ない場合そこで決定されていき、30分後には紙に簡単な部屋割りがかかれて完成していた。
 そして次は簡単なルール。消灯は個人に任せるとしても10時には静かにするように朝も6時までは静かにという事になった。その他は皆自分の世話はできるというので助けがほしい時に声をかければ良いという事だ。

 僕の部屋は2階の南角部屋!ちょっと良い部屋なので皆遠慮しあった結果、くじ引きになり僕になった。ある意味すごくラッキーだけど、『良いのかな?』とは思った。でも結局はこうして使わせてもらえるのは嬉しい。

 各部屋に置いてあると言われた今後の予定や説明を読む。決められた場所にいけばドレスアップの準備が整えられるらしいがオートクチュールにする人もいるため早く行くべきだと書いてある。そして親切にも揃えなくてはいけないもののリストまでついていた。
 下着、靴、ポケットチーフに至るまで必要らしい。手順は、正しく採寸してもらいドレスの生地を決めデザインを決め仕立ててもらう。……でも、洋服一枚作るのには結構な時間がかかる。ましてやこんな高級品……この人数分。本当に急いだ方が良さそうだ。

 リアンの部屋へ行って誘おうと思ったとき、リアンがガブリエルを連れてやって来た。

「ルカ、僕も一緒に行って良いかな?」

 ふわっと笑うガブリエルがすごく可愛くて僕も満面の笑みで答えた。
 話をしてみてわかったのは、リアンは商人の息子だけど子沢山の真ん中だったので両親から相手にされなかったようだ。でも本等は他の兄弟が与えられていたのでそのお下がりでなんとか読み書きは出来たらしい。今回の応募は父親が一世一代のチャンスと役所に他の兄弟と供に連れて来られたらしい。
一方のガブリエルはやはり貴族の息子だった。それもホワイトベリー大将軍という国一番の猛将と名高い将軍の末っ子なんだそうだ。

「父様は僕が体が弱いと知ってがっかりはしたよ。それを隠しもしないし、無理ばかり言うから嫌われてると思っていたけど、父様なりには色々考えてくれていたみたい。……まぁ、脳筋なんでだいぶ可笑しい考え方してたけど。」

 大将軍が脳筋というワードに僕たちは食い付いて話を聞く。

「例えば、僕が風邪を引くでしょ?そうすると普通なら、これからは冷えないようにとか栄養を取ろうとかするけど、父様は違うの。一番に寒さに慣れろと言って裸で庭に出そうとするの。」

 ……体の強い人ならそれもありだろうけど、体が弱いという子にそれは無茶だ。慣れる前に肺炎になるよ。

「うん。肺炎にはならなかったけど熱が出て生死をさまよった。流石の父様もダメだと分かったらしくて暖かくして過ごすことを許してくれたけど、兄様たちは毎朝上半身裸の鍛練で凄かった。」

 ああ、将軍家の3兄弟ね。有名だもの、僕でも知ってるけど……聞いて良いかな?

「ねぇ、あの話は本当に?」

「……どの話?」

「王様に謁見したとき、胸を張って敬礼した瞬間、上着が破れたって話。」

 本当なら大失態なのだが王様はあまりの事に手を叩いて笑ってしまい、それだけ鍛練した証拠なのだろうと褒美まで出したという話だ。

「ああ、それね。本当。……母様は真っ赤になって怒ってたよ。王様からのご褒美はね、新しい上着用の布地と兄様の得意武器の剣。すごく重たい剣で僕と同じくらいの大きさ。」

 こんな話をしながら楽しく必要な物を揃えていった。
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