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再会
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僕の顔色が悪くなったのだろう、回りの皆が心配して声をかけてくれる。でも、それが悪い結果を招いた。
「……なんと、そこにいるのは家の召し使いじゃないか!」
わざと大声を張り上げて近づいて来る。芝居がかった仕草で尊大に、いつものようになじり始めた。
「なぜお前等がこの場にいる!ここはお前のような卑しい者が居て良い所では無いのに!大方、ただで飲み食いが出来るからとこれ幸いに申し込んだのだろう!条件が当てはまったからといって図々しい事この上ない!恥を知れ!この私生児めっ!」
2列目にいた為、無事だったがこれが1列目だったら椅子から引き摺り降ろされ、足で踏まれていただろう。今、周りの子が震える僕を抱き締めてくれているから耐えられているが、つい土下座して許しを請わなければと思ってしまう。
僕がいつものようにしないのに腹をたてたのか掴み出そうと手を伸ばした時、後ろにいた子がその手を止めてくれた。
「失礼ですが、規則をお忘れですか?規則では生い立ちで虐げる事を禁止しているはずですよ?貴方がどちらのご出身かは存じませんが、そのように声を荒げてはお里が知れますよ。」
僕を安心させるように手を肩に置いて宥めてくれる。正妻の長男に向かって止めるようにと言ってくれたが自分より大きな人に向かって言うのはその子も怖かったろう。その様子に周りの子も「大丈夫だよ」「心配無いよ」と言ってくれたおかげで僕の震えも段々落ち着いてきた。
その頃になると会場の案内に回っていた人達が気付き、来てくれたおかげで正妻の長男は席に戻っていった。
「大丈夫?酷い扱い受けてたの?……ここは大丈夫だと思ったんだけどね。」
最初に仲良くなったリアンが声をかけてくれる。リアンもあまり大事にされなかったがここまで酷い言い方はないよと慰めてくれる。
そうこうしているうちに騒ぎがあったのにも関わらずこの白色の席は全部が埋まった。
「白色、揃いましたね。では、白色の方は隣の部屋よりご自分にあったドレスを選び、着替えて来てください。」
示された部屋は先程の講堂と同じくらい広いのに、ものすごい数のドレスで埋め尽くされていた。
ドレスと言われたのでびっくりしたが、ちゃんとパンツ式のドレススーツだったので安心した。大人しい物から派手な物までそのデザインは様々だ。僕はリアンと一緒にアレコレと迷い選ぶ。リアンも僕もクリーム色主体で襟や袖の折り返しが色違いのスーツ。リアンは薄いブルー、僕は藤色。それぞれの目の色と同じだ。本当はもっと地味で良いのだけど、これ以上地味なのがない。僕たち白色の色を選んだ子は皆あまり派手な色や形は嫌いらしく選ぶのが大変だった。
着替えが終わる頃、次の人達が入ってくる。
「揃った順に選ばせるなんて酷くない?!」
「私より後に来たのに先に選ばせるなんて!……先に言っておいてほしい!」
「身の程知らずが先に選ぶなんてあり得ない!」
等、非難が凄まじい。それもそのはず、次の人達は赤色の人達で、殆どが特権階級出身らしい。すれ違いざま、じろりと睨まれたり文句を言われる。
しかし意外にも一人の言葉で蔑みの目で見られてはいても静かになった。
「いやいや。一応、身の程は弁えてるようだよ。ご覧なさい、なんとも地味な物を選んでいる。ここがどういう所か分かっていないようだ。ここは後宮選定の場……自分を美しく整えるのは当たり前だと言うのに!」
ハハハハハと笑いながら奥へと進んで行ったのは先程の正妻の長男と話していた人だ。
「ルカ!」
呼ばれ振り替えると、もう行ってしまったと思っていた正妻の長男がいた。
「これからは私の名を呼ぶことを許してやろう。遠慮せず呼んでみるといい。」
薄笑いを浮かべたこの表情は良くない事を考えている時の顔なのだが、ここで酷い目に会うとは考え難いため素直に「エルバルド…様」と呼んでみた。口角を少しあげ満足そうに去って行った為拍子抜けしたが何事もなかったので安心した。
「……なんと、そこにいるのは家の召し使いじゃないか!」
わざと大声を張り上げて近づいて来る。芝居がかった仕草で尊大に、いつものようになじり始めた。
「なぜお前等がこの場にいる!ここはお前のような卑しい者が居て良い所では無いのに!大方、ただで飲み食いが出来るからとこれ幸いに申し込んだのだろう!条件が当てはまったからといって図々しい事この上ない!恥を知れ!この私生児めっ!」
2列目にいた為、無事だったがこれが1列目だったら椅子から引き摺り降ろされ、足で踏まれていただろう。今、周りの子が震える僕を抱き締めてくれているから耐えられているが、つい土下座して許しを請わなければと思ってしまう。
僕がいつものようにしないのに腹をたてたのか掴み出そうと手を伸ばした時、後ろにいた子がその手を止めてくれた。
「失礼ですが、規則をお忘れですか?規則では生い立ちで虐げる事を禁止しているはずですよ?貴方がどちらのご出身かは存じませんが、そのように声を荒げてはお里が知れますよ。」
僕を安心させるように手を肩に置いて宥めてくれる。正妻の長男に向かって止めるようにと言ってくれたが自分より大きな人に向かって言うのはその子も怖かったろう。その様子に周りの子も「大丈夫だよ」「心配無いよ」と言ってくれたおかげで僕の震えも段々落ち着いてきた。
その頃になると会場の案内に回っていた人達が気付き、来てくれたおかげで正妻の長男は席に戻っていった。
「大丈夫?酷い扱い受けてたの?……ここは大丈夫だと思ったんだけどね。」
最初に仲良くなったリアンが声をかけてくれる。リアンもあまり大事にされなかったがここまで酷い言い方はないよと慰めてくれる。
そうこうしているうちに騒ぎがあったのにも関わらずこの白色の席は全部が埋まった。
「白色、揃いましたね。では、白色の方は隣の部屋よりご自分にあったドレスを選び、着替えて来てください。」
示された部屋は先程の講堂と同じくらい広いのに、ものすごい数のドレスで埋め尽くされていた。
ドレスと言われたのでびっくりしたが、ちゃんとパンツ式のドレススーツだったので安心した。大人しい物から派手な物までそのデザインは様々だ。僕はリアンと一緒にアレコレと迷い選ぶ。リアンも僕もクリーム色主体で襟や袖の折り返しが色違いのスーツ。リアンは薄いブルー、僕は藤色。それぞれの目の色と同じだ。本当はもっと地味で良いのだけど、これ以上地味なのがない。僕たち白色の色を選んだ子は皆あまり派手な色や形は嫌いらしく選ぶのが大変だった。
着替えが終わる頃、次の人達が入ってくる。
「揃った順に選ばせるなんて酷くない?!」
「私より後に来たのに先に選ばせるなんて!……先に言っておいてほしい!」
「身の程知らずが先に選ぶなんてあり得ない!」
等、非難が凄まじい。それもそのはず、次の人達は赤色の人達で、殆どが特権階級出身らしい。すれ違いざま、じろりと睨まれたり文句を言われる。
しかし意外にも一人の言葉で蔑みの目で見られてはいても静かになった。
「いやいや。一応、身の程は弁えてるようだよ。ご覧なさい、なんとも地味な物を選んでいる。ここがどういう所か分かっていないようだ。ここは後宮選定の場……自分を美しく整えるのは当たり前だと言うのに!」
ハハハハハと笑いながら奥へと進んで行ったのは先程の正妻の長男と話していた人だ。
「ルカ!」
呼ばれ振り替えると、もう行ってしまったと思っていた正妻の長男がいた。
「これからは私の名を呼ぶことを許してやろう。遠慮せず呼んでみるといい。」
薄笑いを浮かべたこの表情は良くない事を考えている時の顔なのだが、ここで酷い目に会うとは考え難いため素直に「エルバルド…様」と呼んでみた。口角を少しあげ満足そうに去って行った為拍子抜けしたが何事もなかったので安心した。
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