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穴を掘ってでも入りたい
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お昼の配膳が来る直前、もう1度先生が来た。
僕は、あの紙袋の中身をクローゼットに押し込んで見なかった事にしようとしていたが、そんな事はお見通しとばかりに、クローゼットを開ける。
中身をベッドの枕元の引き出しとかサイドテーブルの中などに閉まっていく。枕だけは布団の足元に置かれた。
…そんな所に入れないでほしいよ。
どうする?と主語も無く聞かれるが、質問の意味は解ってる。
「先生、僕の家の人は病院に何か言ってきていませんか?」
僕の携帯には病院に戻った後、もう連絡は来なかった。本当に僕はあの家にとって、いらない存在なんだと思い知らされた反面、病院にも何も言ってきていないならば、このまま居なくなっても大丈夫なのではと思う。
晃一さんに迷惑をかけるのは嫌だ。
でも、差し伸べてくれたあの腕の中に行きたい。
「うん。大丈夫だよ。何にも言って来てないね~。
不安そうにしないで。本当だよ?それに、解るでしょう?彼はキミのお母さんよりずっと高位にいるαだよ。刃向かうなんて無いだろうね。」
ええ。と頷き先生を見る。どうする?との答えはもう決めた。
「先生、晃一さんは僕の事、知っていても好意を持ってくれたんだよね?…それなら、僕は晃一さんの所に行きたい。」
僕の返事を聞くと先生も大きな笑顔になった。
お昼ご飯が来た。僕はここに来てから美味しい物をお腹いっぱい食べているため、ちょっと太った。
…もうちょっと肉があった方がいいかな?
今日のお昼ご飯は、すごい豪華なうどん。椎茸、蒲鉾、ほうれん草、鳥肉を甘く煮た物が入っている。サイドメニューで牛蒡のサラダ。デザートにマスカットが数粒。
ご飯の後、看護士さんがきて衝撃的な事を知らされた。僕が、先生に晃一さんの好意を受け入れると言ったことで抑制剤を飲まず、避妊薬のみを与えられる事になったと。
…ということは?ちょっと考えて、今自分がとんでもなく恥ずかしい立場だと解り慌てる。
「大丈夫よ。そんな意識しちゃダメよ?Ωにとって番ができるのは凄く嬉しい事でしょ?あ。でも、この後に来る看護士の指導はちょっと恥ずかしいかもしれないなぁ。」
…今でも十分なのにこれ以上恥ずかしい内容ですか?
もう、穴があったら入りたい。
「こんにちは~。初めまして。指導員をしている三木といいます。ちょっとした注意事項をさせてもらいます。」
恥ずかしがられちゃうと、指導してる此方も恥ずかしくなっちゃうから我慢してね。と軽い様子で笑う。
「Ωの行為は肛門を使うから、中まで洗浄するけどしすぎはダメ。専用のビデを使用してください。
発情した時の行為では愛液が凄く出てくるのは、器官の洗浄の意味もあります。」
薄い冊子、『Ωの皆様へ~この度はおめでとうございます~』という本を渡してくれる。
「午前中に先生から、必要なもの全部渡してあると聞いてます。渡された物で意味が分からないのもアルでしょう?この冊子見てもらえれば大丈夫ですよ。」
…ねぇ、指導員さん。先生も。この本を僕に渡して
よく読んでおきなさいって言えば良かったんじゃないですか!?
僕は、あの紙袋の中身をクローゼットに押し込んで見なかった事にしようとしていたが、そんな事はお見通しとばかりに、クローゼットを開ける。
中身をベッドの枕元の引き出しとかサイドテーブルの中などに閉まっていく。枕だけは布団の足元に置かれた。
…そんな所に入れないでほしいよ。
どうする?と主語も無く聞かれるが、質問の意味は解ってる。
「先生、僕の家の人は病院に何か言ってきていませんか?」
僕の携帯には病院に戻った後、もう連絡は来なかった。本当に僕はあの家にとって、いらない存在なんだと思い知らされた反面、病院にも何も言ってきていないならば、このまま居なくなっても大丈夫なのではと思う。
晃一さんに迷惑をかけるのは嫌だ。
でも、差し伸べてくれたあの腕の中に行きたい。
「うん。大丈夫だよ。何にも言って来てないね~。
不安そうにしないで。本当だよ?それに、解るでしょう?彼はキミのお母さんよりずっと高位にいるαだよ。刃向かうなんて無いだろうね。」
ええ。と頷き先生を見る。どうする?との答えはもう決めた。
「先生、晃一さんは僕の事、知っていても好意を持ってくれたんだよね?…それなら、僕は晃一さんの所に行きたい。」
僕の返事を聞くと先生も大きな笑顔になった。
お昼ご飯が来た。僕はここに来てから美味しい物をお腹いっぱい食べているため、ちょっと太った。
…もうちょっと肉があった方がいいかな?
今日のお昼ご飯は、すごい豪華なうどん。椎茸、蒲鉾、ほうれん草、鳥肉を甘く煮た物が入っている。サイドメニューで牛蒡のサラダ。デザートにマスカットが数粒。
ご飯の後、看護士さんがきて衝撃的な事を知らされた。僕が、先生に晃一さんの好意を受け入れると言ったことで抑制剤を飲まず、避妊薬のみを与えられる事になったと。
…ということは?ちょっと考えて、今自分がとんでもなく恥ずかしい立場だと解り慌てる。
「大丈夫よ。そんな意識しちゃダメよ?Ωにとって番ができるのは凄く嬉しい事でしょ?あ。でも、この後に来る看護士の指導はちょっと恥ずかしいかもしれないなぁ。」
…今でも十分なのにこれ以上恥ずかしい内容ですか?
もう、穴があったら入りたい。
「こんにちは~。初めまして。指導員をしている三木といいます。ちょっとした注意事項をさせてもらいます。」
恥ずかしがられちゃうと、指導してる此方も恥ずかしくなっちゃうから我慢してね。と軽い様子で笑う。
「Ωの行為は肛門を使うから、中まで洗浄するけどしすぎはダメ。専用のビデを使用してください。
発情した時の行為では愛液が凄く出てくるのは、器官の洗浄の意味もあります。」
薄い冊子、『Ωの皆様へ~この度はおめでとうございます~』という本を渡してくれる。
「午前中に先生から、必要なもの全部渡してあると聞いてます。渡された物で意味が分からないのもアルでしょう?この冊子見てもらえれば大丈夫ですよ。」
…ねぇ、指導員さん。先生も。この本を僕に渡して
よく読んでおきなさいって言えば良かったんじゃないですか!?
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