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79話 気になること

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「いいんですか、タケルさん。」

「なにがだ?」

「どう考えてもあの子はアイトさんのこと好きですよ。」

「あぁ、そうか。」

「なんですか、その反応は。いつもならボコボコにしようとするじゃないですか!」

「いや、あいつはいつもあんな感じだから、無意識でまたやってるんだろ。放っておいても問題は無い。」


「(どうしたんだろう、タケルさん。なにか様子がおかしい.......。)」




「ってことがあったっす。」

「なるほどな。確かにそれはいつものタケルらしくはないな。」

「ですよね!!なにか考えごとでもしているかのような感じでした。」

「もしかしたら、先日の貴族の訪問の時になにかあったのかもしれないな。」

「どういうことです?」

「いやな、アイトにたくさんの貴族が言いよってきたのは知っているだろ。それに、際してその貴族たちが人材なんかを貸してくれたり、派遣させてくれたりするっていって実力者のリストを送ってきたんだ。」

「それで、何かすごい人はいたんですか?」

「あぁ、それはもちろんだ。だが、あの二人からしたら大したことの無い奴らだ。だが、一人だけ"仙術"を使う爺さんがいたんだ。タケルは誰よりも仙術に興味を持っていたから、そのせいかもな。」

「なるほどっすね。」


 キングの予想はおおよそ当たっていた。


 健は仙術には興味と可能性を感じており、ジャックへと聞きに行ったり、文献を読み漁ったりしたほどだ。

 だから、こそ悩んでいる。

 仙術を使うものは歳は取るものの容姿は若い青年のような見た目  と見聞きした情報全てに記されてあった。



「だから、じゃないか。仙術使いってのは基本的に歳を取らない。というよりは時間に影響されない特別な呼吸法を使っているから、普通の人より細胞が時間の影響を受けない。」

「へぇ、仙術の正体ってそんな感じなんすね。」

「あぁ。他にもあるが、基本的には仙功とこの呼吸法によって構成されているよ。」




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



「はぁ、疲れた。」


 相斗は訓練が終わり、ベンチに腰を下ろした。


「お疲れっす。」

「うん、ジュニアもおつかれ。」

「それより、アイトさんはあの子のことどう思ってますか?」

「そうだなぁ、筋はいいよ。やっぱり、男の子ほど力はないけど、それも蹴りで克服してるよ。柔軟性もあって機動力もある。センスあるよ彼女。」

「いや、違うんすよ。女の子としてってことですよ!!」


 ジュニアは意外にも恋沙汰になると話をしてくるタイプだった。



「女の子としてかぁ。難しいことを言うねジュニアは。魅力的であることは間違いないと思うよ。」


···············



「って、それだけっすか?」

「うん。そうだね。」

「彼女、多分ですけどアイトさんのこと好きっすよ。」

「そうなのかなぁ。僕には真面目に訓練してるってだけに見えるけど。」

「でも、それだったら蹴り練習しないで剣の練習するじゃないですか!」


 それを言った瞬間、ジュニアは「やらかした」と思った。


「ごめんなさい!いくらなんでも蹴りなんて っていうのは失礼でした!」

「そんなこと気にしなくてもいいのに。それは、僕も思うよ。だけど、蹴りの練習ってのは蹴りだけのためじゃないんだよ。他のところでも使いどころがある って思ってるんじゃないかな彼女。」

「そうかもしれませんね。」



 今回に関しては二人ともが正しかった。



           ┈┈┈┈┈訓練所の外┈┈┈┈┈



「アイトさん、好きです!!」

「?????」

「アイトさんと毎日訓練しているうちにあなたの強さに惹かれてしまいました!わ、私と付き合ってくれませんか!!」

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