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77話 貴族の粘り
しおりを挟む「では、私は領地の一部をあげましょう!」
「それでは、私も!」
「私も!」
どうやら、相斗は土地を貰えるような雰囲気になっていた。
だが、相斗もだてに陽キャで高いコミュ力をしていなかった。
「そんなにたくさんの領地を貰っても僕では管理が不届きになってしまうので、そんなには貰えません。それに、領地を貰えば領民などを抱えることになってしまいます。不出来な僕ではまだ人の命を背負うことなどできません。」
本当に思っていることではあったが、より強い思いを込めて相斗はそう言った。
それには、貴族のみんなも納得をせざるを得なかった。まさに満点の回答だったからである。
しかし、これでも引かないのが貴族というものだ。
いい貴族、悪い貴族関係なく、自分の思いを通さなくては生きてはいけない生き物なのである。
「それでは.....」
「いえ、僕に提案があります。」
先手を打ったのは相斗の方だった。
「今、ここで決めるのはあまり僕にも皆様にもいい結果にならないと思うのです。皆様が僕に感謝をしていて、最大限にそれを伝えようとしてくれているのは心からわかりました。ですが、今ここで物品を貰う約束などは出来ません。」
「いえ、そういうわけにはいきませんのよ!」
「最後までお聞きください。今の僕では皆様から何を貰うことで一番喜べるかを考えることが出来ないのです。皆様と出会いましたが、お互いにお互いのことを知らないのです。ですから、僕が欲しいもので皆様が持っているということがあるかもしれません。」
そして、相斗は続けて言った。
「ですので、その時が来たのなら皆様にそれを望んでもよろしいでしょうか?」
「なるほど.....。今ここでは最善の答えは出せないと.....。」
「いやぁ、参りましたねこれは。」
「そうですね。今回ばかりは。」
「私たちも少し頭が冷えましたよ。私たちの望みはアイトさんに喜んでもらうことでした。それをさっきまでは押し付けようとしてしまいました。」
「要らないものを渡したとなっては貴族の看板に泥を塗るところでした。それを自らを使い未然に防いぎ教えてくれるなんて、どこまであなたはいい人なのでしょうか..........。」
「あぁ、今日アイト様と出会えたことは絶対に忘れません。」
こうして、好感度が何故か爆上がりをした相斗に感謝の言葉を一人一言いって帰っていった。
「もぉ、疲れた。無理無理。やってられない!!!」
「おもしれぇことになったな。」
「健!!いたなら、なんで助けてくれないんだよ!!」
疲れすぎて相斗はほぼ八つ当たりをしていた。
「よくやったよおまえは。これで、人脈をゲットしたな。」
「聞いてるの!!」
何かを企む健と八つ当たりをする相斗をキングは真顔で横から見ていた。
「(息ぴったりなのか、噛み合わないのか本当に分からないなこの2人。)」
「ハッハッハ、いやぁ、やっぱりこの2人は面白いね。まさか、貴族までも仲間につけちゃうなんて。僕が"困り人"のスキルを作った時はこんなにも活用されるなんて思ってもいなかったなぁ。」
アルは2人のことを天界から見ていた。
「この2人は見てて飽きないよねぇ本当に。もしかしたら、この2人は本当に世界を救えるかもね...............」
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